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元一級建築士姉歯秀次被告(48)=建築士法違反の罪で起訴=の偽装を国土交通省が公表してからちょうど半年。捜査当局が最終目標としてきた詐欺事件の立件で、捜査は大きなヤマ場を迎えた。
捜査本部は今後、サンホテル奈良の開業を指導した総合経営研究所(千代田区)の内河健所長(72)らの詐欺事件への関与についても追及する方針。
調べでは、小嶋容疑者は姉歯被告がGS藤沢の構造計算書を偽造したと知りながら、昨年十月二十八日に同マンションの一室を男性住民に引き渡し、購入代金五千数百万円をヒューザーの口座に振り込ませて、だまし取った疑い。また木村、森下両容疑者は昨年十一月七日、サンホテル奈良の耐震強度不足を認識した上で、ホテルオーナーから工事代金の一部約二億二千五百万円を木村建設の口座に振り込ませ、だまし取った疑い。
三人はいずれも「知らない」などと容疑を否認している。
■偽造への影響解明を
調べや関係者によると、確認検査機関イーホームズ(新宿区)からの指摘を受け、ヒューザー幹部は昨年十月二十五日夜、姉歯被告の事務所でGS藤沢が地震力を基準の0・4に減らし構造計算されたことをメモした。小嶋容疑者は同二十七日午前にこのメモを見たにもかかわらず、同日午後にGS藤沢の引き渡しを指示、住民から翌二十八日に総額で約四億二千五百万円の振り込みを受けたという。捜査本部はメモ類を押収しており一連の行為が詐欺に当たると判断したもようだ。
一方、木村建設は同二十七日、小嶋容疑者から姉歯被告の偽装について連絡を受けた。直後、木村容疑者は「姉歯を使うな」などと関係先に文書で指示したとみられるという。捜査本部は、木村容疑者らが、イーホームズの指摘以前から姉歯被告の構造計算書に問題があると感じており、小嶋容疑者からの連絡で明確に偽装を認識したにもかかわらず、サンホテル奈良の工事代金を受け取ったとみている。
<解説>
「住」への信頼を失わせた元一級建築士姉歯秀次被告による偽装とは、直接結びつかない容疑で先月下旬に最初の「逮捕」があった耐震強度偽装事件は、マンション住民らを被害者にした詐欺事件に発展。真相解明に一歩近づいた。
警視庁などの合同捜査本部は今回、積極的に「だます」という行為がなくても、耐震強度不足を隠し、代金を受け取ったことが詐欺容疑に当たると判断、ヒューザー社長の小嶋進容疑者らと木村建設社長の木村盛好容疑者らを逮捕した。
相手をあざむき、金品をだまし取った場合に適用される詐欺罪では、「不作為の詐欺」は立証が難しいとされる。だが捜査本部は関係者からの事情聴取や物証などから、少なくとも両容疑者らが昨年十月末に確認検査機関イーホームズから指摘を受けてから代金受領までに問題物件の偽装を認識していたと分析。「偽装を告げられれば当然、住民やオーナーは現金を支払わなかった」と立件に踏み切った。
一方で捜査幹部は「姉歯の偽装をうすうす知りながら偽装物件の販売や、施工を続けた疑いはある」とみるが、その証拠はまだ得られていない。
小嶋、木村両容疑者らの行為が、姉歯被告による構造計算書の偽造という事件の核心にどのような影響を与えたのか。さらにコンサルタント会社総合経営研究所は詐欺行為に関与してないのか。両容疑者を取り調べる中で、捜査本部は、耐震偽装問題発覚以来、国民が注視してきた疑問について答える責任がある。 (社会部・鷲野史彦)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060518/mng_____sya_____004.shtml