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●高齢者に負担集中
「年金水準の低下や課税強化でお年寄りの生活は極めて不安定だ。こんな負担を強いるのは高齢者虐待だ」(民主・三井辨雄(わきお)氏)
法案は、70歳以上で一定所得以上の人の窓口負担を今の2割から3割に引き上げるなど、負担増が目白押し。衆院厚生労働委員会ではこの点に議論が集中した。
野党側は「受診抑制を招き国民の健康を壊す」(共産・高橋千鶴子氏)、「患者が病院に治療費を払えない『未収金問題』に拍車をかける」(民主・古川元久氏)などと批判したが、政府側は「低所得者対策は講じる。必要な医療を妨げるわけではない」(川崎厚労相)との説明を繰り返すだけ。未収金の実態などには言葉を濁し、「少子高齢化社会が進む中、(若者も高齢者も)お互い協力しないといけない」(同)など一般論に終始した。
●医師不足問題も
さらに野党側が力を入れたのが、地方や産科・小児科での医師不足問題だ。国民に負担を求めるばかりで、国民の望む本当の「医療改革」は手つかずだ、という批判だ。
民主党の菊田真紀子氏は、常勤医の大量退職で診療科の一部閉鎖に追い込まれた病院の例を取り上げ「地域医療は破綻(はたん)寸前」と追及。同党の山井和則氏は小児科医の超過勤務が月平均100時間を超えているという調査を取り上げた。
川崎厚労相も「診療科や地域による偏在で医師の不足感がある」ことは認たが、解決策は示せないまま。「都道府県がリーダーシップをとり、国は支援をする」と、地域の取り組みに期待する考えを述べるにとどまった。
●与党からも批判
与党からも異論が出た。長期入院患者のための療養病床の削減案だ。
入院治療の必要がない「社会的入院」をなくして医療費を減らす狙いで、政府案では2012年度までに現在の38万床を15万床まで減らす計画だが、「患者の追い出しは起こらないか」(公明・高木美智代氏)、「療養病床が国民に安心感を与えている」(自民・清水鴻一郎氏)など疑問の声があがった。
厚労省は、老人保健施設や有料老人ホームなどへの転換を促す方針を強調。ただ、現場からは「多額の費用がかかり、転換は容易でない」(日本療養病床協会)との声もあり、患者の「受け皿」が本当に整備されるのか、懸念はぬぐいきれていない。