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2006年05月15日(月) 00時00分

巧妙化するネット詐欺 情報セキュリティー国際会議から 会場には情報セキュリティーのプロたち6300人が集まった=都内のホテルで 東京新聞

 ネット社会では、キャッシュカードやクレジットカードなどの個人認証情報が盗まれると大きな被害につながる。先月、都内のホテルで情報セキュリティーの国際会議「RSAカンファレンス・ジャパン2006」が開かれ、国内の企業や自治体などのセキュリティー関係者ら六千三百人が集まった。約百件あった講演から、一般ユーザーにも役立ちそうな話題をいくつか紹介する。 (ルポライター・宇津木聡史)

 「キャッシュカードの静脈認証や指紋認証は本当に安全なのか」「この技術で守られているのは結局、銀行だけじゃないのか」。会期終盤での講演会で、会場から「銀行を守るために預金者に面倒な認証手続きをさせるのはおかしい」という声が上がった。一方、壇上の銀行関係者は「それではモラルハザード(倫理観の欠如)が起きる」と反撃した。立場によって異なる、情報セキュリティー問題の複雑さが浮き彫りになった瞬間だった。

 この会議は、国内のさまざまな業種のセキュリティー関係者らが組織する実行委員会が毎年開催している。会場では、暗号技術の動向や情報セキュリティー対策に関する講演、各種セキュリティー製品の展示会などが二日間にわたって開かれた。

 【複雑になった手口】

 インターネットを使った犯罪は、年々多様化かつ巧妙化している。例えば、銀行のホームページ(HP)そっくりに作られた偽のサイトで銀行の口座番号やパスワードの入力を促す詐欺や、HPのボタンをクリックしただけでパソコン内の個人情報を収集しているように見せかける動画が流れて不当な登録料を求める、といった犯罪が増えている。

 星沢裕二さん(セキュアブレイン・研究開発プリンシパルセキュリティアナリスト)は「気をつけていても、いつの間にか犯罪者のわなにはまってしまうことがある。もはや、ウイルス対策ソフトを一つ入れておけば安全という状況ではない。複合的に組み合わせることが重要」と指摘する。OS(基本ソフト)のアップデート、不正な侵入を防ぐファイアーウオール、有害なHPにアクセスできないようにするソフト『フィルタリングソフト』などの導入を検討すべきだという。

 【ケータイも危ない】

 出会い系サイトなどの携帯電話サービスを介した犯罪も増加している。メールを送りつけて有害サイトにアクセスさせ、料金を一方的に請求する「ワンクリック詐欺」は沈静化の傾向にあるが、迷惑メールは現在も大量に横行している。「そのほとんどがいまだに有害サイトの運営者や不正な料金を取り立てる犯罪者とつながっているといわれる」と、横田孝弘さん(KDDI技術開発本部au技術企画部ネットワークセキュリティグループリーダー次長)。

 「まず、携帯電話の迷惑メールを拒否する機能の一つ『メールフィルター』を使ってほしい。メールを受け取らないことが最も効果的な対策」という。また、携帯電話会社には有害サイトにアクセスさせないサービスを提供しているところもある。

 【ICカードに変更】

 銀行や郵便局に設置されている預貯金のATM(現金自動預払機)に隠しカメラを設置、利用者の暗証番号を盗み見る事件も相次いだ。このため大手都市銀行などでは、ユーザー情報をICチップに記録させる新タイプのカードを発行したり、本人確認に指紋や手の静脈で識別する「生体認証」を取り入れたりしている。しかし、この生体認証ですら簡単に「なりすまし」ができる、と小松尚久さん(早稲田大学理工学部教授)らは指摘する。

 もちろん、古いタイプのカードより生体認証やICチップのカードのほうが安全だ。従来の暗証番号と生体認証技術とを組み合わせることで、より安全性が高まることも事実。しかし、どんなセキュリティー技術もいつかは古くなる。常に手口が進化していることを肝に銘じておきたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20060515/ftu_____dgi_____000.shtml