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「この辺に、テニスショップがあったはずなんですけど」——。ボックスをのぞき込んで来た男性に、黄緑の帽子とベストを着た池永喜義さん(67)が、「ここを突き当たって、200メートルぐらいですね」と道の向こう側を指さした。連休中の6日。仕事は、テニスショップの道案内で始まった。
サルビアの活動は、正午から午後9時まで。シルバー人材センターから派遣されたスタッフ11人が、2人1組で、4、5時間ずつ交代で“勤務”する。ボックス内は、道案内用の地図、警察に連絡するための電話と簡素。
交代時間の午後4時、当番の大津昌源さん(69)が到着すると、「茶色の小銭入れは、届いてないですか」と心配顔の女性がやって来た。サルビアではトラブルを避けるために拾得物や遺失物は、取り扱わない。大津さんは、駅前の交番を案内した。山本直さん(73)は、ゴミ箱などを持って、路上の清掃を始めた。街の清掃も大切な仕事だ。
午後5時半ごろになると、路上に自転車やバイクの迷惑駐車が目立ち始めた。1台が駐車すると、次々に増える。スタッフには取り締まる権限はない。交番に連絡した大津さんは、「我々ができるのは注意だけ。撤去はできないんですよ」と話した。
しばらくすると、3歳くらいの男の子を、通行人が連れてきた。泣き顔の男の子は、迷子らしい。「いくつかな」「名前は言える」と人形を使ってあやしながら、本職の警察官が来るのを待った。男の子は、到着した警察官とサルビアを出ると、間もなく笑顔で戻ってきた。一緒の警察官は、「すぐ家族と遭遇しました」と報告。大津さんらが手を振ると、男の子も小さく手を振り返した。
このほか、急病人のための119番通報、振り込め詐欺を未然に防いだ緊迫の場面に遭遇することもあるという。