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勝訴の判決を聞き弁護士(左)と喜ぶ原告の(左から)甲斐常一さん、木村民子さん、小高美代子さん、佐伯俊昭さん=12日午後、大阪地裁で
原爆症の認定をめぐっては、03年4月以降、大阪地裁のほかに被爆者約160人が東京など12地裁で起こしている。国の認定審査のあり方を正面から批判したこの日の判決は、各地の訴訟にも影響を与えるとみられる。
勝訴したのは、がんや甲状腺機能低下などを発症している大阪、京都、兵庫の3府県に住む69〜81歳の男女9人。7人は爆心地から1.5〜3.3キロで被爆しており、2人は入市被爆者だった。
判決はまず、国の審査方針の妥当性について検討。放射線の被曝(ひばく)線量の算定評価システム「DS86」と「DS02」について「放射線量を計算するには現存する最も合理的なシステム」と認めた。疫学調査などを加味してがんなどの疾病の発生率を算定した「原因確率」についても「考慮要素の一つにすることは不合理とはいえない」とした。
一方で、(1)1.3キロ以上離れた場所の放射線量を過小評価している疑いがある(2)2キロ以上先で被爆した「遠距離被爆者人」にも脱毛などの放射線による急性症状がみられた——などと指摘。1.3キロ〜1.5キロ以遠の被爆者については機械的な適用に慎重であるべきだとした。
残留放射線や爆発で発生した放射性降下物による被曝(ひばく)、放射性物質を吸い込んだことなどによる内部被曝の危険性も認定。入市被爆者や遠距離被爆者については、これらの影響も考慮して判断すべきだとした。
そのうえで、原因確率の数値が10%以下であれば被害の可能性が低いとしている現在の審査手法について「必ずしも妥当とは言い難い」と批判。「原爆症認定は被爆前後の生活や健康状態などを総合的に考慮して判断すべきだ」とした。
原告9人の病気と被爆との因果関係については、爆心地から1.5〜3.3キロで被爆した7人に加え、入市被爆者が飲食、呼吸による内部被曝などで被害を受けた可能性を考慮。脱毛などの症状が出た入市被爆者2人も「放射線に起因した発症とみるのが合理的」と述べ、全員の疾病について原爆の放射線によって引き起こされた可能性があると結論づけた。
http://www.asahi.com/national/update/0512/TKY200605120251.html