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この年金は、年齢に応じた掛け金を払った保護者が死亡すると、残された障害者に月額3万円が終身支給される都独自の制度。身体、知的、精神の障害者あわせて約3万人が加入する。中でも知的障害者の場合は約3割が加入している。
04年度決算でみると、掛け金などの収入13億円に対し、支出した給付金は38億円。12年連続の赤字で、92年度には329億円あった基金は減り続け、04年度は191億円になった。一方、基金を利用した運用益はわずか2000万円。基金の取り崩し額が大きすぎて、長期の運用ができず、年利0.09%と運用難にあえいでいる。
受給者の寿命が延びていることなどから給付額は増え続けており、このままでは11年度に基金は払底し、同年度に約34億円、12年度には累計74億円が不足する見通しだという。
こうした状況を招いた大きな要因は、金利などの動向を無視したとも言える、都の見通しの甘さだ。都は98年、低金利や障害者の長寿化で運営が悪化したとの理由で、掛け金を2倍以上に値上げした。だが、この値上げは、当時すでに1%を切っていた運用利率が4.5%に上がれば再建可能になるという計算のもとに行われたものだった。
結局、運用利率はその後も下がり、毎年800人前後だった新規加入者は値上げ後に200人程度に激減。「払いきれない」と中途退会する人も相次いだ。
都は「見通しの甘さを認めざるを得ない。障害者に対する支援制度も充実してきており、年金制度の役割は後退した」と廃止の検討に入った。3万人の加入者のうち、年金受給者1万人、掛け金の支払いを終えている1万1000人については、一部公費を投入しての年金や一時金の支給を検討。支払い中の9000人については、国の制度や民間保険への移行措置などを視野に入れている。具体的な方策について審議会に諮問し、今秋までに方針をまとめる予定だ。
審議会委員の一人で、都知的障害者育成会の山内美代理事長は「作業所での月収が1、2万円と少ない知的障害者の生活を支える大切な制度。できる限り、存続してもらいたい。廃止するにしても何らかの違う支援の仕組みを考えてほしい」と話している。