2006年04月28日(金) 08時29分
【06年3月期決算】消費者金融 3社とも最終減益 「灰色金利」返還引当金響く(フジサンケイ ビジネスアイ)
アイフルを除く大手消費者金融三社の二〇〇六年三月期連結決算が二十七日、出そろった。利息制限法の上限金利(年15−20%)を超えて受け取った利息の返還に備え、計約七百億円の引当金を計上したため、全社が最終減益となった。
最高裁が一月、いわゆるグレーゾーン金利を事実上認めない判断を下したことが響いており、これまで高収益を謳歌(おうか)してきた消費者金融の苦境が鮮明となった。
一般企業の売上高に当たる営業収益は、各社が大手銀行と共同設立した個人向けローン会社が貢献し、アコムとプロミスが増収。武富士は業界内の競争激化で減収だった。
一方、受け取り過ぎた利息の返還金はアコムが百三十五億円、プロミスが百四十四億円、武富士が百八十七億円に膨らんだ。
この結果、前期に過去最高益を稼ぎ出したプロミスの最終利益は、前期比44・2%減の四百二十億四千六百万円と大幅に減少。アコムは19・5%減の六百五十五億九千五百万円、武富士も31・7%減の四百六十九億二千四百万円と大きく落ち込んだ。
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■生き残りへコスト削減
消費者金融大手三社は、出資法の上限金利が現行の29・2%に据え置かれることを前提に、二〇〇七年三月期連結業績予想でいずれも増益を見込んでいる。しかし、利息制限法の上限との差であるグレーゾーン金利が撤廃されれば収益力の低下は必至。各社は、生き残りを懸けてコスト削減を迫られることになりそうだ。
売上高に当たる営業収益は、アコム、プロミス、武富士の三社合計で一兆一千七百五十六億円。これに対し、人件費などの営業費用は計八千六百二十一億円に達する見込みで、収入の七割以上がコストとして消える。
競争が激しい消費者金融業界では、知名度の高さが顧客獲得のカギを握っており、各社は競ってテレビCMを放映している。
今期は多重債務者問題への配慮から回数を減らすが、それでも単体ベースで計三百六十億円以上の広告宣伝費を投じる見通しだ。
また、武富士の五百二十三カ所を筆頭に、各社は多数の有人店舗を持つ。厳しいリストラを強いられた大手銀行などに比べても、合理化の余地はまだ残っているといえそうだ。
プロミスの神内(じんない)博喜社長は、上限金利が利息制限法(15−20%)の水準まで引き下げられれば「単体で六百億円の減収要因になる」と危機感を募らせる。同社の連結最終利益が吹き飛ぶ計算だ。
アコムの木下盛好(しげよし)社長は、規制が強化されれば「宣伝費や営業体制などのコスト構造を、どう抜本的に見直すかが重要になる」とみている。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 4月28日8時29分更新
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