悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年04月27日(木) 00時00分

【関連】三者三様 ウソ重ね 耐震偽装 一斉逮捕 東京新聞

 姉歯秀次元一級建築士(48)に木村建設、イーホームズ。耐震強度偽装事件での一斉逮捕は、三者三様の「ウソ」を浮き彫りにした。逮捕された事件のキーマンらは、何に突き動かされ、不正に手を染めていったのか。 

 「大学も行かないのに、よく建築士になったと思ってました。なんで名義貸しなんかしたのか。腹が立つ。本人の暮らしのためなんだろうね」

 宮城県大崎市。姉歯容疑者逮捕を報じるニュースを見た親類の女性(81)が、ため息をついた。

 「ぶっしあわせ」(不幸)な“育ち”だったという。幼くして両親が離婚。兄と離ればなれになり、母親と身を寄せ合うようにして育った。今年三月に母親を亡くし、父親が逮捕された姉歯容疑者の二人の息子。女性はその姿と、姉歯容疑者の境遇を重ね合わせた。

 「覚悟していたと思う。ちゃんと罪を償わないと息子たちにも顔向けできないだろうから」

 姉歯容疑者が建築デザイナー秋葉三喜雄容疑者(46)から受け取った名義貸しの報酬は、設計料の約二割、計一千万円前後とされる。それも生活のためだったのか。

 偽装を指摘された関係者に姉歯容疑者はこう言い訳した。「阪神大震災後に(構造計算)プログラムが改善されて、まともにやると設計上、鉄筋が入りすぎて。自分の判断で多少落とした」

 偽装物件が九十八に上り、耐震強度が正規の15%しかないマンションがあると判明した今、そのウソがむなしく響く。

 ■自らの経歴も粉飾 木村容疑者

 「おやじ」。木村建設社長の木村盛好容疑者(74)は、その親しみやすい呼び名と裏腹に、社内でワンマン経営者として振る舞った。十数人の取締役は名ばかり。「実際は使用人のようなもの」(同社元幹部)という。

 そんな中で頭角を現したのが、元東京支店長篠塚明容疑者(45)だった。一九九一年、三十歳の若さで役員となり、木村容疑者に次ぐ社内二番目の高給を得た。子供のいない木村容疑者は、やり手の篠塚容疑者を実子のようにかわいがった。

 「社長とは親子同然の間柄。『明日、あそこの現場へ行け』と言われれば喜んで行った」。篠塚容疑者は本紙に、傾倒ぶりを隠さなかった。

 その木村容疑者は二十六日、帽子とマスクを着けた変装まがいの格好で福岡空港に入った。

 長年の知人が、あるエピソードを明かす。

 民間調査機関がまとめた二〇〇一年の木村建設の会社データ。同容疑者の学歴は「出身校 外国の大学」とあった。「本当ですか」。そう尋ねると、ウソを認めた。「日本の大学ならバレるが、外国の大学なら調べようがない」。その後、「師範学校」と改められたという。

 徹底したコスト削減を売り物に、熊本県内トップの売上高を誇った木村建設。その裏で、巨額の債務超過を覆い隠す粉飾決算が行われていた。

 「あの人そのものが粉飾。会社経営もそうだったのか」。知人はそう振り返り、あきれた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060427/mng_____sya_____008.shtml