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「大学も行かないのに、よく建築士になったと思ってました。なんで名義貸しなんかしたのか。腹が立つ。本人の暮らしのためなんだろうね」
宮城県大崎市。姉歯容疑者逮捕を報じるニュースを見た親類の女性(81)が、ため息をついた。
「ぶっしあわせ」(不幸)な“育ち”だったという。幼くして両親が離婚。兄と離ればなれになり、母親と身を寄せ合うようにして育った。今年三月に母親を亡くし、父親が逮捕された姉歯容疑者の二人の息子。女性はその姿と、姉歯容疑者の境遇を重ね合わせた。
「覚悟していたと思う。ちゃんと罪を償わないと息子たちにも顔向けできないだろうから」
姉歯容疑者が建築デザイナー秋葉三喜雄容疑者(46)から受け取った名義貸しの報酬は、設計料の約二割、計一千万円前後とされる。それも生活のためだったのか。
偽装を指摘された関係者に姉歯容疑者はこう言い訳した。「阪神大震災後に(構造計算)プログラムが改善されて、まともにやると設計上、鉄筋が入りすぎて。自分の判断で多少落とした」
偽装物件が九十八に上り、耐震強度が正規の15%しかないマンションがあると判明した今、そのウソがむなしく響く。
■自らの経歴も粉飾 木村容疑者
「おやじ」。木村建設社長の木村盛好容疑者(74)は、その親しみやすい呼び名と裏腹に、社内でワンマン経営者として振る舞った。十数人の取締役は名ばかり。「実際は使用人のようなもの」(同社元幹部)という。
そんな中で頭角を現したのが、元東京支店長篠塚明容疑者(45)だった。一九九一年、三十歳の若さで役員となり、木村容疑者に次ぐ社内二番目の高給を得た。子供のいない木村容疑者は、やり手の篠塚容疑者を実子のようにかわいがった。
「社長とは親子同然の間柄。『明日、あそこの現場へ行け』と言われれば喜んで行った」。篠塚容疑者は本紙に、傾倒ぶりを隠さなかった。
その木村容疑者は二十六日、帽子とマスクを着けた変装まがいの格好で福岡空港に入った。
長年の知人が、あるエピソードを明かす。
民間調査機関がまとめた二〇〇一年の木村建設の会社データ。同容疑者の学歴は「出身校 外国の大学」とあった。「本当ですか」。そう尋ねると、ウソを認めた。「日本の大学ならバレるが、外国の大学なら調べようがない」。その後、「師範学校」と改められたという。
徹底したコスト削減を売り物に、熊本県内トップの売上高を誇った木村建設。その裏で、巨額の債務超過を覆い隠す粉飾決算が行われていた。
「あの人そのものが粉飾。会社経営もそうだったのか」。知人はそう振り返り、あきれた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060427/mng_____sya_____008.shtml