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元一級建築士の姉歯秀次容疑者は午前八時半前、東京都千代田区のビジネスホテルを出て、警視庁のワゴン車に乗り込んだ。黒の帽子に黒のジャンパー姿。めがねはかけていない。ワゴン車は午前八時四十五分、百人近い報道陣が集まった東京都中央区の築地署に到着した。
姉歯容疑者は助手席側の後部座席。カメラから一斉にフラッシュが浴びせられると、帽子のつばを押し下げてうつむき、顔を隠すしぐさをした。
耐震偽装事件が公になった後、人目を避けるように千葉県市川市の自宅を出た。建築事務所を兼ねていた一軒家の自宅は、二月に知人に売却。都内のビジネスホテルに身を隠しながら、捜査本部の任意の事情聴取に応じてきた。
「素直にすべて話します、という態度ではなく、こちらからネタを当てないと答えない」と捜査幹部。「真実を明らかにするには、身柄拘束が必要」と、逮捕に踏み切った。
国会の証人喚問では、偽装の動機を「病気の妻が入退院を繰り返しており、収入が限りなくゼロになると思って葛藤(かっとう)した」と証言した。その妻は今年三月に自殺。通夜の終わった午前一時すぎ、人けのない市川市の葬儀場に姿を見せた。
「妻の顔を見たい」。スーツに黒いネクタイ姿。取り乱した様子はなかったが、硬い表情のままだった。二人の息子と一緒に、霊安室で過ごした別れの時間は約十五分。「明日の葬儀には出られないが、しっかりやってほしい。分骨用の小さなつぼを用意してほしい。自分はそれで供養するから」と言い残し、葬儀場を後にしたという。
捜査幹部は「偽装のきっかけが妻の病気だったというなら、妻の死で気持ちに整理がつくということもあるかもしれない」と、姉歯容疑者の心の内を推し量った。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060426/eve_____sya_____002.shtml