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2006年04月19日(水) 00時00分

原油高騰 危険水域に近づいた 東京新聞

 原油価格が高騰している。ガソリンや石油製品も値上げに動いており、経済への悪影響は無視できない。週末の先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は対応策を真剣に検討すべきだ。

 寄せては返す波のように、原油価格は数カ月ごとに上昇と下落を繰り返している。今回の上昇局面では、米国産標準油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格がニューヨーク・マーカンタイル取引所の終値で今週初めて、一バレル当たり七〇ドルの大台を突破した。

 これに合わせて、欧州の北海ブレントや日本の需要が多い中東産のドバイ原油も過去最高値の水準で推移している。専門家の中には「WTIは七〇ドル台半ばまで、上昇する」という見方もあるようだ。

 今回の高騰は、核開発を続けるイランを経済制裁する懸念が強まっていることや石油精製施設への攻撃が続くナイジェリアの政情不安を受けて、世界的に原油供給が不足するとの見方が強まったためだ。加えて、投機筋の資金も流入し、高値に拍車をかけている。

 ここまで価格が上がってくると、企業も石油関連製品の値上げに踏み切らざるをえない。生活に密着しているガソリンの卸値は一部で来月から三円程度、上がる見通しだ。ポリエチレンやポリプロピレンなど化学製品も値上げ交渉に入る。

 日本経済はかつての石油危機の教訓から、企業が省エネ技術を高め、生産単位当たりの原油使用量は半分以下に抑えてきた。円高が続いたおかげで、輸入価格も安上がりだったために、これまでは原油高騰の悪影響も軽微で済んだ。

 だが、これほどの高水準になると、たかをくくってもいられない。とくに東アジア各国が打撃を受けると、めぐりめぐって日本にも悪影響が及ぶ。東アジア各国は原油備蓄も少なく、先行きが心配だ。

 先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議は原油高騰が世界経済に与える影響の大きさや波及経路、とくに成長著しい中国など新興国の経済が腰折れしないかどうか、十分に検討してほしい。

 原油高騰は短期的に産油国に利益をもたらすものの、世界景気が後退すれば、結局、需要が減ってプラスにならない。産油国と消費国の相互依存の深さも訴えるべきだ。

 日米欧の中央銀行はそろって金融引き締めに動いている。金利上昇ピッチの速さに金融市場が敏感になっている局面で、原油が高騰するのは、事態を一層複雑にする。各国中央銀行の手綱さばきも試される。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060419/col_____sha_____002.shtml