2006年04月12日(水) 03時08分
<薬事法>「置き薬」でも副作用 改正案骨抜きの恐れ(毎日新聞)
大衆薬が原因とみられる副作用報告約300件(04年度)のうち、置き薬を売る「配置販売業者」が取り扱った薬で、少なくとも数件あったことが分かった。今国会に提出された薬事法改正案は、薬の販売業者に対し、副作用の知識などを問う試験制度の導入を盛り込んだが、既に従事している配置販売業者は免除している。副作用情報を適切に購入者へ伝えるという改正案の趣旨が、事実上骨抜きになる恐れが出てきた。
厚生労働省によると、配置販売業者には現在、資格試験はなく、薬事法で270成分の薬に限定して販売が認められている。このうち、かぜ薬や解熱鎮痛薬などについて厚労省に副作用報告があり、皮膚障害や肝障害などの被害が出ていた。
厚労省医薬食品局安全対策課は試験免除の理由として「副作用は確かにゼロではないが、極めて限られている」ことなどを挙げ、同局総務課は「長年続いている伝統産業を守るため」と業界保護も理由とした。
改正案は、大衆薬を副作用の危険度に応じて3種類に分類。最も危険度が高いAグループは薬剤師しか販売できず、残るグループは、薬の副作用や関連法令の知識などを問う都道府県実施の新試験に合格することが求められている。
サリドマイド薬害の被害者である増山ゆかりさん(42)は「大衆薬が原因の薬害はサリドマイドやスモンなど多くある。法改正は、副作用のリスクを消費者に提供する仕組みづくりのはずなのに、配置販売業者を外すのは、安全性の確保より既得権益を守ることを優先した結果としか思えない」と批判している。【玉木達也】
(毎日新聞) - 4月12日3時8分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060412-00000007-mai-soci