2006年04月08日(土) 03時17分
町会名簿作成困難で助け合い崩壊も…個人情報保護(読売新聞)
内閣府の国民生活審議会個人情報保護部会のヒアリングは7日、日本新聞協会に続き、東京都町会連合会と全国民生委員児童委員連合会(全民児連)が、昨年4月の個人情報保護法の全面施行後、町会名簿が作りにくくなるなど、地域社会の「助け合い精神」が崩壊しかねなくなっている実情を報告した。
都町会連合会の石川誠一会長は、住所や氏名、電話番号、職業が記載されていた町会名簿から、職業、電話番号がなくなり、「会費は払うが、名前は載せないでほしい」という住民が増えていると説明。港、渋谷、新宿各区では、既に名簿を作れない状況という。
石川会長は「災害弱者も登録した人しか把握できない。地域組織が崩壊しかねない」と訴えた。
約22万7000人の民生委員、児童委員を束ねる全民児連。事務局となっている全国社会福祉協議会の山田宜広・民生部長は、「委員には守秘義務があり、保護法の影響はないと思っていたが、高齢者や一人親家庭の名簿を提供しない自治体が出ている。『干渉されたくない』と訪問を嫌がる独り暮らしの高齢者も増えている。(現場から)危機感が大きな声として上がっており、憂慮している」と話した。
これに先立つ日本新聞協会の報告では、取材に対し、学校が生徒数すら明かさないなど過剰反応の事例を挙げた。また、自治体が議員の連絡先や表彰者の氏名も公表しないなど、保護法を盾にした極端な情報非開示が進む現状に、懸念を表明した。
同協会の人権・個人情報問題検討会副幹事の石井勤・朝日新聞東京本社編集局長補佐は、「この法律が何を目指し、具体的に何を守るのか、生活者のレベルに伝わっていないことが混乱を引き起こしている。一過性の現象とは言えず、早くも対処が求められる時期にきている」と指摘。同検討会委員の藤原健・毎日新聞東京本社編集局総務は、「他人に関心を示さないような匿名化社会を、この法律は結果的に推進した。混乱がありとあらゆるところで起きている意味を考え、抜本的に考え直すべきだ」と述べた。
(読売新聞) - 4月8日3時17分更新
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