2006年04月02日(日) 07時04分
未公開株トラブル、東北でも被害多発 初心者標的に(河北新報)
未公開株をめぐるトラブルが東北でも多発している。未公開株を売りさばいた名古屋市と東京都の業者が2—3月に、証券取引法違反と詐欺容疑で相次いで摘発されたが、「近く上場する」「値上がり確実」との触れ込みを信用した個人投資家が巻き込まれるなど、東北のトラブルと類似点が多い。東北の一部個人は捜査当局に被害を訴えているが、多額の売却益を当て込んだ危ないマネーゲームは、“にわか投資家”を引き込みながら拡散しそうな気配だ。
仙台市のある会社は表向きの業務と別に、数年前から地方企業の未公開株の購入を仲介している。少なくても100人以上に売り、総額は数億円に上るとみられる。関係者は「購入者は医者の奥さんなど小金を持った人が多いが、株の専門的な知識は持っていないようだ」と明かす。
業として株式売買を行う場合、証券業取引法に基づき、証券業の登録をした証券会社や株式発行会社に限られるが、同社は無登録。「大量に未公開株を買った人が手放したいというので、個人的にあっせんしているだけ」と釈明するが、「近く上場する」との口約束を繰り返し先送りしている。
上場されない理由に、ライブドア事件で新規上場の審査が厳しくなったことなどを挙げているというが、過去にも大阪証券取引所幹部の仮装取引事件(2003年)のあおりを理由にしたこともあり、投資家側は「また同じ方便を持ち出してきた」とあきれている。
証券業界の関係者は「上場計画が軌道に乗れば、外部要因で何年も遅れることはないはず」と不自然さを指摘する。
山形県の男性が昨年5月、都内の証券取引業者を通じて買ったのが、大塚化学などの持ち株会社「大塚化学ホールディングス」(大阪)の未公開株。700万円を投じたが上場されないため、業者に買い戻しを要求した結果、手数料として数十万円を引かれた。
同社の未公開株は全国に出回り、大阪府警は3月初め、購入代金をだまし取った詐欺容疑で業者を逮捕した。
宮城県の男性も昨年7月、未公開株を都内の別の業者から20万円で購入した。証券会社の助言で未公開株の発行会社に問い合わせたところ、「上場予定はない」と回答され、だまされた疑いを強めている。
日本証券業協会(東京)には東北で出回っている未公開株をめぐる相談も寄せられているという。トラブル多発を重視し2月に、投資家向けパンフレットを作成した。
協会は、既に購入した人には(1)仲介業者の証券業登録の有無(2)株券が本物かどうか—などの確認を勧め、「勧誘されても未公開株には手を出さない方がいい」と注意を喚起している。
(河北新報) - 4月2日7時4分更新
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