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本は、出版前に複数の校閲者が目を通す。今回は編集者が若い人に代わった。彼があらためて、校閲者に読ませた。すでにハードカバーで出版された本である。その時も校閲者が読んでいる。
編集者からの手紙は、なんと十九カ所の疑問点を示していた。そしてそのほとんどに、疑問の根拠として、インターネットから検索した記事のハードコピーが添えられていた。
結論は、新たな修正は不要であった。十九カ所中十七カ所の疑問は、インターネット記事の誤りに基づくものであった。
この本は航空機事故を分類したもので、六十五件の事故に言及していた。そして飛行機事故に関するインターネットの記事には、驚くほど不正確な記述が多い。
例えばボーイング737−300が、737−3B7となるなどの誤りが多い。次に多いのは、地名、人名の日本語表記である。スティーブンズがスティーブンスとなった程度は、ご愛嬌(あいきょう)である。しかし地図にないフランスの地名が、英語流(らしい)発音で書かれていたりする。
せめて全教図の「新世界地図」や岩波の「西洋人名辞典」ぐらいは、参照してほしいと思う。類似の地名や人名は、たくさん載っている。しかしそれを期待するのは、無理らしい。インターネットの書き手には、校閲者がいない。ある種のネット記事には、誤りが加速度的に増殖しているようにみえる。しかもそれが、独り歩きしている。私がこの種の腹立たしい経験をするのは、実は、過去五年で三回ある。(かとう・かんいちろう=東大名誉教授)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20060327/ftu_____dgi_____002.shtml