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今月一日、使用済みペットボトルの再生処理業者約四十社が「PETボトル再商品化事業者協議会」(鹿子木公春代表幹事)を結成した。再生処理業者が結集したのは初めてのこと。
「十年間に培ったシステムがまさに崩壊しようとしている。何とかしないと取り返しがつかなくなる」と鹿子木代表幹事は危機感をにじませる。
家庭から出るペットボトルのリサイクルは、市町村が収集し、容器メーカーなどで構成する日本容器包装リサイクル協会が無償で引き取り、協会が再生処理業者に処理を委託する−というシステムで回ってきた。家庭からの収集・運搬費用は市町村が負担。再生処理費用は容器メーカーや飲料メーカーなどが払う。
ところがこの数年、ペットボトルが市場で有価で取引されるようになり、システムから外れて、収集したペットボトルを独自に業者に売却する市町村が増えてきた。
中国への輸出業者らが高値で自治体から買い取る場合もあるという。経済成長中の中国で、繊維などにリサイクルできるペットボトルの需要が高まり、価格は上昇。原油価格の高騰で、原料にペットボトルを使う方が安いことも拍車をかける。
「家庭と事業所の分を合わせ、年に(国内生産量の四割相当の)約二十万トンが中国や香港に輸出されている」(PETボトルリサイクル推進協議会)との推計もある。国内流通量は減少し、協会が業者に処理を委託したペットボトルの量も二〇〇五年度、初めて前年度比マイナスに。〇六年度も、さらに約二割少ない十四万四千トンになる見込み(同協会)。
一方、再生処理業者数は年々増え、競争が激化。委託費用の業者の落札価格は〇五年度、一トンあたり約一万三千六百円で、前年の約三割に下落した。今年一月にあった〇六年度分の入札では初めて、業者がお金を出して買い取るマイナス入札に。競争力のない業者が淘汰(とうた)されるとの危機感が業界には強まる。
独自に売却する自治体にも、言い分はある。
「いくばくかでも収入を得て、収集費用の足しにしたい」(東京都大田区)。収集費用は、リサイクル費用全体の六−七割を占めるとも言われる。生産者にその負担を求める声が自治体には根強い。「再生処理費用が減ればメーカーの負担は減るが、我々には一銭も入ってこない」との不満も漏れる。
今後、中国などでの需要がいつまで続くかは不透明。環境問題として、それらのペットボトルが最終的に適正処理されているのか疑問視する専門家もいる。輸出されている廃家電なども含め、国際的なリサイクルルートの整備は今後の課題だ。
「国際条約や法上でも、国内で処理するのが原則」とする環境省は、今国会で審議する容器包装リサイクル法改正案に、国内処理をすすめる趣旨の基本方針の追加を盛り込んだ。四月から独自処理を始める横浜市や川崎市は、国内処理を契約条件にしている。
ごみになるものを作らないことが「法の本来の目的であり地球益」とする東大生産技術研究所の安井至客員教授(環境科学)は「生産者に収集費用の負担をさせないと、自治体の独自処理に歯止めはかからないのでは」と話す。「合理的なリサイクルのシステムを作っていくには、費用を商品に表示するなどして、市民の関心を高めていくことが必要でしょう」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060320/ftu_____kur_____000.shtml