2006年03月05日(日) 03時14分
<格安旅行会社>突然営業を中止、客1200人に被害(毎日新聞)
格安航空券を販売していた東京都の旅行会社が、昨年末に突然営業を中止し、航空券の代金を振り込んだ客約1200人に被害が出ている。宙に浮いたチケット代は約1億6000万円。
旅行を断念した客らは代金の返還を待っていたが、先月末に会社の破産が決まり、代金を取り戻せる見込みはほぼなくなった。
問題の旅行会社は03年に設立された「トラベル遊」(東京都品川区)。都内に3店舗を持ち、インターネットなどで格安航空券を売っていた。代金は口座振り込みで、空港でのチケット受け渡しは別の業者に委託していた。
関係者によると、社長は先月、弁護士を通じて東京地裁に破産申し立てを行い、地裁は破産手続きの開始を決定した。同社の資産はほどんどなく、チケット代金を回収できる見通しはないという。
トラブルが起きたのは昨年12月22日。同社は突然、本社と3店舗を閉鎖した。空港に行っても航空券が受け取れず、店への電話が通じないなど、客は混乱に巻き込まれた。
神戸市の女性会社員(26)は韓国への往復航空券の代金6万3000円を振り込んだが、出発前に空港に電話で確認したところ、「トラベル遊から航空券が届かないので、渡すことができない」と告げられた。
元社員(34)は「社長が姿を消し、会社の口座から資金がなくなっていた」と話す。閉鎖の日の夕方に社長から電話があり「資金繰りができなくなった」と聞かされた。元社員の携帯電話に表示された、電話の発信元の所在地は台湾だったという。
トラベル遊の破産管財人によると、被害者は1198人、被害総額は1億5967万円で、平均被害額は約13万円。社団法人「日本旅行業協会」によると、04年度に12社、05年度に3社が倒産したが、営業を突然ストップしたケースは異例だという。
トラベル遊は同協会の弁済制度に加入していた。これに基づき協会が弁済金を客に支払うことになるが、総額450万円が限度。1人平均で約3700円にすぎない。神戸市の女性は「訴訟を起こすには被害額が少ないけど、かといって泣き寝入りなんて……」と悔しがっている。【石丸整】
(毎日新聞) - 3月5日3時14分更新
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