2006年02月25日(土) 18時28分
<悪質サイト>セレブと交際体験を 後から多額の利用料請求(毎日新聞)
「会ってくれるならお小遣いをあげる」——。裕福な男女が交際相手を探していると装って勧誘し、後から多額の利用料を請求する悪質な出会い系サイトが横行している。運営業者は、海外に法人格を持つ決済代行会社を“トンネル”として経由させることで、クレジット決済を可能にしている。現行法では、こうした悪徳商法を規制するしくみが不十分で、法律家は法整備を求めている。
悪質サイトは無差別に電子メールを送り、「無料体験」などを口実に勧誘。登録時にクレジットカード番号を記入させ、入会すると「セレブの主婦」「青年実業家」「デザイナー」などの肩書でメールが続々と届く。メールのやりとりをするうちに、有料化する通知が届き、ドル建てで月数万〜数十万円の利用料を請求してくる。
メールの相手は「会えば300万円あげる」「お金がいっぱいある」などと言い寄るため、会員は「会って元を取ろう」とメール交換を継続。ところが、デート直前になると「事故に遭いけがをした」などと理由をつけて相手は逃げてしまう。
悪質サイトに関する訴訟を複数担当した土井裕明弁護士(滋賀弁護士会)らによると、出会い系サイトなど実態不明の企業は通常、カードの加盟審査で除外され、カード決済はできない。しかし、新規の起業が相次ぎ、加盟の申請が増加する中で、加盟審査などの業務をカード会社に代わって行う決済代行業者が次々と誕生。悪質サイト運営者が、海外に法人格を持つ決済代行業者に申請して審査の目をすり抜け、カードで決済するケースが目立つようになった。
割賦販売法では2カ月3回以上のローンを組む場合、クーリングオフなど消費者を保護するしくみがあるが、翌月一括払いが多いカード決済は、多くのケースが対象外。また、加盟店の不法行為については、カード会社や決済代行業者に責任を負わせる制度もないため、悪質な決済代行業者の存在はトラブルにつながりやすいという。
土井弁護士は「薬物や銃器、アングラ情報の売買なども、決済代行会社を介すことで、信用あるクレジットカードの支払いが可能になり、さまざまな詐欺商法の支払いもできてしまう」と警鐘を鳴らしている。【深尾昭寛】
(毎日新聞) - 2月25日18時28分更新
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