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2006年02月18日(土) 00時00分

耳かき 奥が深い!読売新聞

ネットで語る エステで癒やす

 耳かきが今、熱い。多様な耳ケア商品が店頭に並び、「耳エステ」なるサービスも登場。インターネットでは「ミミカキスト」が“至福の体験”を語り合う。耳かきへの情熱とこだわりは高まる一方のようだ。


約10種もの耳かきを使用する「イヤーエステ」

 東京・南青山に昨年6月オープンしたエステティックサロン「レスプランディール」。都心のホテルの理容室で耳掃除の技を磨いた代表の高橋光子さんが、マッサージなどを加えた「イヤー(耳)エステ」に腕をふるう。

 「たかが耳」とあなどってはいけない。かける時間は70分。まずは蒸しタオルを当て、ジェルを使ったマッサージを施す。血行をよくし、緊張をほぐしてから産毛そりへ。耳のふち、耳たぶ、耳の中と、細いカミソリを小刻みに動かしてそっていく。

 ここからが耳かき。先が平たいもの、細いものなど約10種の耳かきを使い分けて耳あかをかき出し、綿でくすぐるようにゴミを払う。さらに化粧水をしみこませた綿で耳の中をぬぐい、耳から目、ほお、おでこ、肩までのツボを丹念にマッサージ。ここまでのフルコースで料金は8400円から。

 常連の会社役員男性(68)はエステを終えて、しばし放心状態。「もう夢心地です。耳って奥が深いなあ」。客は20歳代から80歳代まで幅広く、男性も4割ほどを占めるという。

 高橋さんは「子どものころにお母さんにやってもらった耳掃除は、安らぎの象徴でしょう。お客さんの反応を見ていると、『癒やし』は耳をなくしては語れない気がします」という。

 東急ハンズ新宿店では16日から耳かきの特別コーナーを設置(3月19日まで)、内視鏡付き耳かき、粘着式の黒い綿棒など約200種類の耳ケア商品を紹介している。

 コーナーに並ぶ耳かきは、さじ、円盤、ループといった様々な形状に加え、材質も金属やシリコーンなど様々。売り場担当の松岡弘子さん(44)によると、耳かきを買い求める人はもともと中高年男性などが多かったが、最近は若者の関心も高まっているという。


 多彩な耳ケア商品が登場する中で、昔ながらの竹の耳かきの人気も健在だ。特に、かまどの煙でいぶされた「煤(すす)竹」を使った手作りの耳かきが、「こだわりの逸品」として珍重される。

 特別コーナー設置期間中は、東京・巣鴨のとげぬき地蔵尊(高岩寺)境内に出店する「原田の耳かき」の職人・白浜彰朗さん(25)が実演し、客の耳を実際に見て、好みをたずねながらさじの薄さやカーブの具合などを調節してくれる。

 ネットでは、耳かきを愛する「ミミカキスト」たちが、新製品の使い心地や、とれた耳あか自慢を繰り広げている。500本以上の耳かきを所有し、「耳かきがしたい」(ジャイブ)の著書もあるフリーライター上野玲さん(43)は、その魅力を「忘我の境地」「プチ桃源郷」と表現する。

 欧米人に湿性の耳あかが多いのに対し、日本人は乾性の耳あかが多いことが、我が国での耳かき隆盛につながったようだ。江戸時代には耳かきの機能を備えたかんざしがブームとなり、“耳かき屋”もいたという。「耳あかをとるという本質的な目的以外に、お手軽なリラクゼーション・アイテムでもあることが、何かと気ぜわしい今の日本人に受けているのではないか」と上野さんは見る。

 ただ、耳の中は非常にデリケート。理容師に耳掃除や毛そりを禁じている府県もある。一般向けの耳鏡(ライト付きの拡大鏡)と柄の曲がった短い耳かき棒のセット「ミミール」を開発し、4年前から販売している「ミミール耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック」(新潟県長岡市)の納谷裕医師(58)は、「まずは見ることで、耳の中のことを知ってもらいたい。深い所についた耳あかの除去は専門の医師にまかせるべきです」と強調する。

 日本耳鼻咽喉科学会理事の森山寛・慈恵医大教授(57)も、「耳の穴の皮膚は非常に薄く、硬い耳かきで傷つけて炎症を繰り返すと、かえって耳あかがたまり、悪循環に陥りかねない」と指摘。「通常、耳の奥にあるあかは手前に移動してそれほどたまらない。学問的には耳かきは必要ないが、どうしてもしたければ、そっとなぞる程度にとどめるべき」と話している。

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