2006年02月14日(火) 16時11分
アース製薬 未公開株が大量流出 愛知県警、販売の業者捜索(産経新聞)
証券業登録を受けずに大塚製薬グループの医薬品メーカー「アース製薬」(東京)などの未公開株を販売したとして、愛知県警生活経済課と中村署は十四日、証券取引法違反(無登録営業)の疑いで、名古屋市中区栄の「ワールドネットインベストメント」(森田敏男代表取締役)本店と、東京都中央区の関連会社など十カ所を家宅捜索した。
アース製薬が株式上場した昨年十一月以前に、同社の未公開株がワールド社を含む複数の無登録業者に流出。全国の個人投資家に販売され、上場後の株価より著しく高値で購入した投資家から「損害を受けた」との相談が同社に相次いでいた。
証券取引法で、株式の取引業務は登録を受けた証券会社にしか認められておらず、未公開株は証券会社も原則として取り扱っていない。
調べでは、ワールド社は証券業登録を受けずに平成十六−十七年、電話やダイレクトメールで個人投資家を勧誘、アース製薬などの未公開株を販売した疑い。
ホームページでは「未公開株で膨大なキャピタルゲインを得た株長者が多く誕生している」と宣伝していた。
未公開株はアース製薬の株主が上場前に譲渡し、何らかのルートでワールド社などの無登録業者にわたったとみられ、県警は入手経路を調べる。
アース製薬によると、十六年以降、無登録業者が同社の未公開株を一株あたり最高二万円で販売。昨年十一月に東京証券取引所二部に上場した際の公募価格は二〇〇〇円で、その後の株価も三〇〇〇円前後だった。
このため、投資家からアース製薬に「多額の損害を受けた」などの相談が約千三百件寄せられ、同社は「個人投資家の方が結果的にだまされたようになっており、大変心苦しい」としている。
一方、すそ野を広げる個人投資家が「未公開株を買えば値上がりは確実」などとの誘い文句に乗り、詐欺的な被害を受ける同様のトラブルは最近、急増している。
証券市場では、新規上場後に株価が急上昇する銘柄が続出。未公開株は一獲千金を狙う個人投資家が飛びつく格好の“商品”となっている。
ところが証券会社は原則として未公開株を取り扱っておらず、通常、株主が個人的に譲渡する以外に出回ることはない。金融庁は「株ブームを背景に悪質業者が暗躍し、関係者から未公開株を入手して法外な値段で売りつけている」と指摘している。
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【用語解説】アース製薬
大塚製薬グループの中心企業の一つで、殺虫剤販売で業界トップクラス。「ごきぶりホイホイ」や「薬用モンダミン」など日用品や医薬品の製造販売で知られる。明治25年に創業、昭和39年に現在のアース製薬に社名変更した。全国7カ所に支店があり、昨年11月に東京証券取引所2部に株式上場した。
(産経新聞) - 2月14日16時11分更新
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