2006年02月14日(火) 21時45分
<損保ジャパン>違法営業130拠点で 1年以上公表せず(毎日新聞)
損害保険ジャパンで14日発覚した保険名義借りなどの違法販売について、同社は経営陣の関与を否定した。しかし違法営業は販売ノルマを達成することを目的に、全国の販売拠点の2割に当たる約130拠点で起きていた。さらに同社は違法営業を把握してから1年以上たつ同日まで「対象契約者とは円満解決済み」として対外公表しなかった。損保各社で保険金の大量不払いが明らかになる中、経営陣の問題意識の低さは、保険不信に拍車をかけそうだ。
違法販売は05年8月までの3年半に366件発生。いずれも提携先である第一生命保険の生命保険の販売ノルマを達成するため、営業部門の社員が親族や知人名義で契約し、保険料の一部や全部を社員が立て替えていた。
保険業法は、契約者間の公平性を保つため、特定の人だけに保険料を割り引くことを禁じている。同社は04年10月に違法販売を把握。05年2〜8月に関係社員に聞き取り調査をし今年1月、社員ら527人を処分した。しかし担当役員は報酬1カ月分の3%カット、社員は厳重注意などと軽い処分にとどまった。
さらに調査期間中にも多数の不適切な販売を引き起こしていた上、対外公表も「解約を受け付けるなどして、対象契約者と円満解決済み」だとして14日まで行わないなど、対応は後手に回り続けた。
損保ジャパンと第一生命は01年に商品の相互販売を開始。両社とも相互販売による販売高が全体の2%を占める。三井住友海上火災保険と業界2位争いを続ける損保ジャパンにとって相互販売の維持、拡大は至上命題だ。
しかし損保の代理店の多くは、生保の死亡保険の販売経験が浅い。一方、月数万円の保険料になる死亡保険を売る生保の営業職員にとって、年間数万円程度の自動車保険を勧めるのは「それほど難しくはない」(大手生保)。第一生命側に匹敵する実績を上げるため、経営陣が設定した高めのノルマの達成を迫られる中で違法販売が広がったとみられる。
損保ジャパンは「目標が高すぎたというより、想定以上に代理店の育成が遅れていたことが原因」としているが、育成の度合いに見合った目標設定でなかったことへの責任は免れない。【宮島寛】
(毎日新聞) - 2月14日21時45分更新
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