2006年01月28日(土) 14時59分
本当に反省しているのか…被害者家族が見た“塀の中”(読売新聞)
家族の命を奪った犯人は刑務所でどんな暮らしを送っているのか——。
「全国犯罪被害者の会(あすの会)」関西集会のメンバーが、各地の刑務所への訪問活動を続けている。
犯罪被害者にとっては、「厳罰と矯正を」という思いとは裏腹に、「塀の中」の加害者は日々を漫然と過ごし、贖罪(しょくざい)教育も不十分なように映った。
出所者の再犯が相次ぐなか、被害者らは「私たちの苦しみを知ることで、自らの罪に向き合い、更生してほしい」と訴えている。
「あすの会」関西集会は、一昨年12月から毎回5〜10人が参加して月1回程度のペースで刑務所や少年院11か所を訪ね、施設や作業を見学してきた。
兵庫県尼崎市の無職藤本護さん(76)は2002年3月、自宅前で妻(当時70歳)を近所の男に刺殺され、自らも重傷を負った。男は懲役10年が確定し、徳島刑務所(徳島市)に収監された。
藤本さんは昨年4月、徳島刑務所に足を運んだ。が、男を探し出すことはできなかった。殺人犯も窃盗犯も、溶接や印刷など同じ作業を一緒にしていた。罪の軽重での区別はなく、投げやりな態度も感じた。贖罪教育も希望者だけが対象だった。
「本当にあの男は反省しているのか」と不安を抱き続ける藤本さんは「ただ長期収容しただけではマンネリ化し、なぜ刑務所にいるのかさえ忘れてしまうのではないか」と危惧(きぐ)している。
(読売新聞) - 1月28日14時59分更新
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