2006年01月05日(木) 08時58分
海外賭博サイトにJRAコーナー、購入試算300億円(読売新聞)
インターネットを使った海外の「賭博(とばく)サイト」に日本の中央競馬のコーナーが相次いで登場し、国内からの賭け客が急増していることが、日本中央競馬会(JRA)の調査でわかった。
日本からの賭博サイト利用は賭博罪などに抵触するが、サイト運営会社が利用者情報を伏せているため、客の特定は極めて困難で摘発例もまれ。JRAは「国際競馬統轄機関連盟」(本部・フランス)を通じ、サイト開設国に取り締まりを要請するなど、思わぬ“商売敵”に危機感を募らせている。
海外賭博サイトは、スポーツの勝敗や選挙結果などさまざまな対象について賭け客を募り、クレジットカード決済や国際送金などで精算する仕組み。
JRAなどによると、このサイト上に中央競馬が登場したのは1990年代後半。現在では、アメリカやイギリスなどの十数社のサイトに専門の日本語コーナーが開設され、全レースについて、JRAの出走表を基に独自の高配当率を掲げて日本人客を募っており、携帯電話で利用できるものもある。
賭博サイト運営会社のうち、会員数を公表しているイギリスなどの2社で昨年、中央競馬のコーナーを利用した日本人は、5年前の2倍という計約3万5000人に急増。JRAが、客1人当たりの馬券購入単価を基に2社の日本人会員の購入総額を試算した結果、年間約300億円に上る。
警察庁によると、海外の賭博サイトに対しては捜査権が及ばず、利用者や賭け金などの特定は事実上、不可能に近いという。
一方、国際競馬統轄機関連盟の要請で、各国の主要クレジット会社は2003年までに、賭博が違法とされる国のカード利用者と、賭博サイト運営会社間の決済を停止。しかし、運営会社がカムフラージュのため決済用に別会社の名義を使うなどし、実効は上がっていないという。
JRAの昨年の馬券発売総額は2兆9025億円で、過去最高だった9年前の約7割にまで減少。JRAは「賭博サイトの利用を放置すればするほど、減収は拡大する。捜査当局と連携し、利用の違法性を訴えていきたい」としている。
(読売新聞) - 1月5日8時58分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060105-00000301-yom-soci