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イー社は最初に偽装と指摘した中に「藤沢」が含まれるとしており、ヒューザー側がこの時点で耐震性に疑念を抱きながら、購入者に伝えなかった可能性が強まった。
ヒューザーは、イー社の指摘以降に「藤沢」の一戸を含む二物件三戸の売買契約を結んだほか、三物件十九戸を引き渡しており、警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、宅地建物取引業法(宅建業法)に抵触する可能性もあるとみて、関心を寄せている。
関係者によると、十月二十八日午前、完成した「藤沢」の現場で、施工した木村建設(熊本県八代市、破産)側が、構造計算書などの設計図書や各部屋の鍵などをヒューザー側に引き渡した。木村側は篠塚明元東京支店長ら、ヒューザー側は役員らが立ち会った。
設計図書は通常、入居者でつくる管理組合が管理し、マンション内の管理人室に保管される。ところが、ヒューザー幹部は「これを借りる」と言って構造計算書を持ち帰り、設備や意匠の設計図書はそのまま管理人室に保管されたという。
同席した関係者は「通常は保管しておく計算書を持ち出したので不審に思った」と話す。
ヒューザーはこの日午後から入居者に鍵の引き渡しを開始したが、入居者に耐震強度の偽装を通知したのは十一月十七日になってからだった。構造計算書は現在、管理組合側に戻されている。
衆院参考人質疑のやりとりなどによると、ヒューザー役員は十月二十五日、イー社から計算書の偽造を指摘され、姉歯氏も偽造を認めた。同二十七日には、イー社の藤田東吾社長(44)がヒューザーの小嶋進社長(52)に偽造を伝えたとされる。
宅建業法に基づく東京都の事情聴取に対し、ヒューザーは「イー社からの偽装の指摘は工事中の四物件について。藤沢など完成済みの七物件については、販売を中止しなければならないとの認識はなかった」と説明しているとされる。
取材に対し、ヒューザーは「お答えできない」と話している。
■偽装指摘以降のヒューザーの動き
10月25日 イーホームズがヒューザーなどに姉歯秀次元一級建築士が関与した偽装物件があると指摘。姉歯氏も認める。ヒューザーが「グランドステージ船橋海神」1戸の売買契約を結ぶ
〃 26日 「グランドステージ藤沢」1戸を売買契約。「コンアルマーディオ横濱鶴見」1戸を引き渡し
〃 27日 イーホームズ社長がヒューザー社長に偽装について伝える。「グランドステージ茅場町」1戸を引き渡し
〃 28日 午前、「藤沢」の構造計算書を外部に持ち出す。午後、「藤沢」17戸を引き渡し
〃 29日 「船橋海神」1戸を売買契約
11月17日 「藤沢」の入居者に偽装を通知
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051222/mng_____sya_____010.shtml