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2005年12月21日(水) 00時00分

偽装強制捜査 建築犯罪のからくりは 東京新聞

 耐震強度偽装事件で警視庁などの合同捜査本部は二十日、姉歯秀次・元建築士の自宅や木村建設本社など全国で一斉に家宅捜索に入った。国民注視の「建築犯罪」を徹底的に解明してほしい。

 住宅やホテルの安全を根底から崩した事件にようやく捜査の手が入った。捜査員五百人以上を動員して全国百カ所以上という家宅捜索の規模の大きさに、この問題の深刻さが表れている。

 国土交通省は今月五日、建築基準法違反の疑いで姉歯氏を警視庁に告発した。これを受け警視庁と千葉、神奈川両県警は合同捜査本部を設置し、準備を進めてきた。国会も参考人質疑と証人喚問を行った。

 その結果、偽装は姉歯氏だけでなく木村建設、平成設計などが深く関係し、全国で展開されていたことが明らかになった。さらにビジネスホテル建設では経営コンサルタント会社「総合経営研究所」が主導的立場にいたことなども判明し、“構造的犯罪”の可能性が強まった。

 偽装物件はマンション、ホテルあわせて十七都府県で七十八件に達している。まず解明してほしいのは姉歯氏がなぜこれほど偽装を続けてきたのかである。同氏は国会で木村建設から「相当のプレッシャーをかけられた」と証言したが、ほかからの圧力や別の理由はなかったのか。

 木村建設の元東京支店長は国会で「鉄筋量を減らせと言ったが、あくまでも法律の枠内の話だ。強く働きかけたことはない」と証言した。しかし、優越的地位を背景に強要したのではないか。耐震強度の不足を知らずにマンションなどを建設していたとは考えられない。

 総研の内河健所長は「鉄筋もコンクリートも減らせとは言っていない」と国会で証言したが、同社チーフコンサルタントは鉄筋量削減を指示していた。同社は経済設計と説明するが“虚偽設計”の疑いもある。

 捜査当局は建築基準法違反容疑を突破口にして、宅地建物取引業法(宅建業法)違反、さらには詐欺容疑などを視野に入れているという。国民は不安と怒りに震えている。責任追及の手を緩めてはならない。

 偽装を見逃した行政側の責任も問われている。政府は早急に再発防止策を確立しなければならない。

 事件関係者と政治家とのかかわりも浮上している。ヒューザーの小嶋進社長は自民党森派などへ献金していた。伊藤公介・元国土庁長官は偽装発覚の直前、同社長を国交省幹部に引き合わせている。マンション業界などと政界とのつながりも、しっかりと調べてもらいたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20051221/col_____sha_____002.shtml