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そもそも、なぜ県は二十五年もの長期間にわたって結論を出すことができなかったのか。
県では、畜産業振興などを所管する畜産課を中心に「肥料のもと」として適正な処置をするように、廃棄物対策課では「産業廃棄物」として、それぞれ指導を繰り返してきた。主に対応してきた畜産課が業者に甘かったのではないか、という気がしてならない。
ふん尿処理などを定める家畜排せつ物法に基づいて適正処理するには、施設整備に多額の費用がかかる。このため、多くの業者がふん尿を田畑の脇に“放置”しているのが実態だ。畜産業者の健全育成を優先した畜産課は徹底的な指導に二の足を踏んでいたように思える。
というのも、廃棄物対策課が本格的な対応に乗り出した六月以降、業者はあっけないくらい素早く養豚業をやめ、ふん尿の垂れ流しを停止した。近隣の住民被害を重視し、当初から廃棄物として対応をしていれば問題が長期化することはなかったのではないか。
また、ふん尿を捨てていた土地が国有地だったことも、長期化の一因だった。十一月には国が業者を提訴し、舞台は法廷に移った。県職員には「土地を所有している国が、もっと早く撤去要請をしていれば…」との思いもあるようだ。
「畜産課」「廃棄物対策課」「国」の三者それぞれに言い分はあり、記事の書き方を悩んだこともあった。しかし、取材の過程で聞いた住民のあきらめの一言が、記事を執筆する後押しをしてくれた。
「これまでも県に問題の解決をお願いしてきた。これからも何も変わらないよ」
(布施谷 航)
<メモ>
5月末、鉾田町(現・鉾田市)の養豚業者が、近くの大竹海岸沿いの国有地に約500トンもの豚のふん尿を、25年にもわたって投棄していることが発覚した。県は当初から近隣住民の通報を受けて問題を知っていたが、有効な対策を取ってこなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20051221/lcl_____ibg_____000.shtml