2005年12月16日(金) 12時40分
「Wikipediaの情報はブリタニカと同じくらい正確」--Nature誌が調査結果を公表(CNET Japan)
Nature誌の行った調査から、WikipediaとBritannicaが正確な情報源として同レベルにあることが明らかになった。Britannicaは、世の中の事実について記述した情報源の基準と見なされている百科事典だ。
Wikipediaは自由にだれでも利用できるオンラインの百科事典だが、ここ2週間は、寄稿者の信頼性や全体的な説明責任に関する問題で、マスコミから集中砲火を浴びていた。
Wikipediaは、特に元ジャーナリストのJohn SeigenthalerがRobert KennedyおよびJohn F. Kennedyの暗殺に関与していたとする記述が匿名の寄稿者によって公開された件で、それを4カ月も放置していたとして批判を浴びていた。また、同サイトにあるポッドキャストの項目に関して、この分野の草分け的存在であるAdam Curryが他人の独創的な業績に触れた部分を匿名で削除したとして、これを非難する声がブロガーの間から上がっていた。
このような状況と、これまでのさまざまな問題に対し、Wikipediaを立ち上げたJimmy Walesは、このサービスとコミュニティの基盤となっているのは、情報の正確さを保証する自己検閲と自浄の特性だとの主張を通してきている。
それでも、多くの批判者が正しい情報源としてのWikipediaの役割を認めようとせず、正確な参考文献の例としてEncyclopedia Britannicaの名前を挙げることも多かった。
Natureは、今回の調査にあたって、WikipediaとBritannicaの双方からさまざまなトピックを選び出し、各分野の「しかるべき」専門家に意見を求めることにした。依頼を受けた専門家は、それぞれから同じ話題の項目を抜き出し、比較を行った。ただし、専門家には各情報がどちらのサイトから抽出されたかは知らされなかった。その結果、各分野の専門家から合わせて42件の有効回答が集まった。
最終的に、極めて重要な概念に関する一般的な誤解など、深刻な誤りが見つかったものはわずか8件で、それぞれ4件ずつという結果になった。ただし、事実に関する誤記、脱落、あるいは誤解を招く文章はいくつも発見された。Wikipediaにはこのような問題が162件あったのに対し、Britannicaのほうは123件だった。
この数を1項目あたりに換算すると、Britannicaは2.92件、そしてWikipediaは3.86件となる。
「Natureが実施した専門家主導による調査は、専門意見を聞いてWikipediaとBritannicaの科学分野の内容を比較した初めての調査だが、その結果は注目を集めている例(SeigenthalerやCurryの問題)が例外的なものであることを示唆している」(Nature誌)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。
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