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米国産牛肉は二〇〇三年十二月、カナダ産は少し早く同年五月から輸入が中断された。両国で牛海綿状脳症(BSE)の病原体である異常プリオンに感染した牛が確認されたためである。内閣府の食品安全委員会は足かけ二年審議し、先週末、北米産と国産牛肉のリスクの差は「非常に小さい」との結論をまとめた。これを受けて農水、厚労省は輸入再開を決めた。
ただ、無条件ではない。現在の日本の基準である「月齢二十カ月以下」、脳や脊髄(せきずい)など「特定危険部位」(SRM)の完全除去を米国などが順守することが条件である。
両省には今後、この条件が順守されるよう査察が強く求められる。
輸入中断前に米国で四十カ所、カナダで十七カ所の施設が日本向けの牛肉を生産していた。これらの施設の多くは、対日輸出条件を定めたそれぞれの政府の「輸出プログラム」に従って認証を得たうえ、輸出を再開するとみられる。
これらの施設できちんと条件が守られるのか。その査察の結果を定期的に消費者に伝える必要がある。いまのところ日本から担当者が直接出向いて行う査察は月一回というが、それでは少ないというのが消費者の一般的な受け止め方ではないか。
そうでないというならば、「輸出プログラム」下での認証など両国の牛肉安全システムがどのように運用されているのかを国民に十分に説明しないと納得は得られないだろう。
早ければ来年早々には国内の一般の小売店にも北米産牛肉が出回る。その場合、原産地表示を徹底し、食べるかどうかの選択を消費者に十分に保証する必要がある。
原産地表示は日本農林規格(JAS)法で牛肉を含む生鮮食品については既に義務付けられているが、「味付けカルビ」「合挽肉(あいびきにく)」などの加工食品の義務化は来年十月からだ。外食については農水省指針で事業者の自主性に任されている。だが、北米産牛肉への不信が強い消費者が少なくないことを考慮すれば、北米産牛肉を使用した場合には正確に表示すべきだ。その方が消費者の信頼が得られる。
かつて国内でBSE感染牛が確認されたあと、輸入肉を国産と偽装する事態が相次いだ。店頭、あるいは外食でこのような偽装表示が起き、消費者に不安を抱かせないよう、行政は監視を強めてもらいたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20051213/col_____sha_____003.shtml