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2005年12月03日(土) 00時00分

ブルガリア万歳 注目度アップ読売新聞

琴欧州さんのおかげです!

 初土俵以来、19場所で大関にスピード昇進した琴欧州。綱取りへの期待もかかる実力と、「角界のベッカム」とも言われる容姿で人気だが、その故国ブルガリアも注目度が急上昇中だ。

ヨーグルト消費拡大だ

 「ブルガリア」と聞くとどうしても最初に思い浮かぶのがヨーグルト。明治乳業は一昨年から、琴欧州に好物のヨーグルトを差し入れてきたほか、昨年9月の新入幕の際には鮮やかなブルーの化粧まわしも贈っている。大関昇進が決まった11月30日には、テレビCM起用を発表した。

 明治乳業がプレーンヨーグルトを手掛けるきっかけとなったのは、1970年の大阪万博で、同社の社員がブルガリア館で本場のヨーグルトを味わったこと。翌71年に発売に踏み切り、73年にはブルガリアから国名使用許可も得た。

 この縁から、「琴欧州が活躍すると株価が上がる」との観測も。同社広報室は「女性に人気の琴欧州の力を借りて、ヨーグルトの消費拡大を狙いたい」と、ブームに便乗する構えだ。

観光客1万人突破?

 昨年ブルガリアを訪れた日本人観光客は約7000人。「来年は目標の年間1万人に一気に近づくのではないか」と、ブルガリア政府観光局の佐久間征夫さん(64)は力を込める。「琴欧州の故郷ベリコ・タルノボはどんな街ですか」といった問い合わせも増えているという。

 同国には、「リラの修道院」をはじめとする九つの世界遺産や、香水に使われるバラオイルの産地として有名な「バラの谷」など観光名所が多い。

 「田舎の村にも足を延ばし、自然や家庭料理を楽しむ」というのが、佐久間さんのお薦めコースだ。

家庭料理もイケる

家庭料理「ムサカ」を作る留学生のダニエラさん

 ラーメン好きという琴欧州だが、故国ではどんな食事をしていたのだろうか。国際基督教大大学院で教育学を学ぶブルガリア人留学生のダニエラ・ニコロバさん(29)に、家庭料理の一つ「ムサカ」をつくってもらった。オーブン天板に、火を通したジャガイモとニンジンを敷き、その上にいためたタマネギとひき肉を重ねる。そこにトマトをのせ、小麦粉と牛乳、卵のソースとチーズをかけてオーブンへ。具だくさんのオムレツに、香ばしいピザの風味を足したようなおいしさだ。

 琴欧州の両親が大関昇進を祝って近所の人たちにふるまったという「ラキア」も飲ませてもらった。スモモやブドウでつくる蒸留酒で、アルコール度数は40度を超える。ブルガリアの人々は自家製ラキアを楽しむことが多いという。

バラも産地です

 「日本人がブルガリアと聞いて連想する単語が三つに増えた」と喜ぶのは、東京都渋谷区で商事会社を営むカタージェフ・ティホミールさん(49)だ。

 15年前に来日したころは、ブルガリアの代名詞は「ヨーグルト」だけ。これに最近は「琴欧州」と、名産の「バラ」も加わったという。

 カタージェフさんはバラオイルやバラジャム、バラ飲料などバラの加工品を手掛けているが、このほかにも「ハチミツ、チーズ、ハーブなど、まだまだ知られていない特産品はいっぱいある」という。

 ワインの名産地であることも、あまり知られていない。輸入しているメルシャンによると、昨年の輸入量は61キロ・リットルで、フランスやイタリアなどに比べるとかなり少ない。だがブルガリアは世界最古のワイン産地の一つで、現在も香り高いワインを産み出している。

 横綱の朝青龍を破った一番は、ブルガリアのテレビで何度も報じられた。「あの横綱を破るなんて、びっくりしました」と日本人会の追谷和夫会長(62)。ブルガリアには約140人の日本人が住んでいるが、場所中は「今日は勝ちましたね」があいさつ代わりとなった。ブルガリアの人々の間でも相撲への関心が高まっている。

 国際協力機構(JICA)の専門家として大学院の日本経営コース運営を担っている追谷会長によると、ブルガリアの人々は、日本人がブルガリアを知る以上に日本のことを知っている。「観光やビジネスで両国の結びつきを深める懸け橋に」と、追谷会長は琴欧州の活躍に期待している。

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