2005年11月27日(日) 22時25分
群馬と福岡のホテルも偽装か(読売新聞)
耐震強度偽装問題で、群馬県と福岡県のそれぞれホテル1棟の構造計算書が偽造されていた疑いがあることが27日、わかった。
このうち1棟は宿泊客を別のホテルに移して営業を休止した。姉歯秀次・1級建築士(48)が関与したホテルの休業は徐々に広がりを見せており、判明前の調査中を含めて1都8県の計15棟にのぼっている。マンション住民に立ち退きを迫ることになった偽装問題は、各地の経済にも影を落としている。
群馬県によると、同県渋川市の「エクセルイン渋川」(11階建て)の構造計算書を再計算した結果、震度6程度で倒壊の恐れがあることがわかったため、当面休業することを決め、宿泊客を別のホテルに移した。
県は建築確認を行ったが、点検のポイントとなる数値に矛盾はなく、偽装を見抜けなかったという。
北九州市の「アルクイン黒崎」(同)は、構造計算書の再点検で、震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされている。同ホテルは、新規の予約を断っているが、長期滞在者のため、当面、営業は続ける。
当初、姉歯建築士が設計に関与していたとして千葉県が公表した全国194件の建物のうち、国土交通省や自治体などの調査で耐震強度の偽装の疑いが判明した物件は27日の時点で35棟。
17日に国交省が発表した21棟以外の14棟は、東京都台東区で建設予定だったマンション「(仮)エクセリア浅草田原町」(未着工)を除くと、いずれもホテルで、営業を中止したり、新規予約受付を中止したり、工事を停止したりしている。
新たに偽装が判明した14棟のうち、「苅田プレモントホテル」(福岡県苅田町)、「アルクイン黒崎」(北九州市)、「駒ヶ根プレモントホテル」(長野県駒ヶ根市)、「ホテルセンピア」(伊那市)などは、強度偽装問題の影響で経営状態が悪化し、破産申し立ての意向を表明している建設会社「木村建設」(熊本県八代市)が施工していた。
また、「京王プレッソイン五反田」(東京都品川区)や、「プラザイン羽村」(東京都羽村市)、「(仮)本厚木ホテル」(神奈川県厚木市)など少なくとも6件は、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が建築確認をしたものだった。
確認検査では、「(仮)エクセリア浅草田原町」では台東区が、「ホテルセンピア」と「駒ヶ根プレモントホテル」は長野県が、「エースイン松本」(長野県松本市)で松本市、「パークイン平塚」(神奈川県平塚市)は平塚市がそれぞれ確認するなど、自治体による確認でありながら偽装を見破ることができなかった物件が6件あった。
一方、ホテルの中には、偽装の有無ははっきりとしないものの、姉歯事務所が設計に関与したというだけで営業を一時休止した店舗も増えており、「カントリーホテル高山」(岐阜県高山市)や「岡崎第一ホテルイースト館」(愛知県岡崎市)など5店舗にのぼる。
(読売新聞) - 11月27日22時25分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051127-00000013-yom-soci