2005年11月20日(日) 09時34分
強度偽装マンション、2棟は自壊の恐れも(読売新聞)
耐震強度が偽装されていた東京、千葉、神奈川の1都2県のマンションなど21棟のうち、すでに完成し居住者のいる千葉県船橋市と神奈川県川崎市のマンション各1棟は、地震などがなくても、長期的には自らの重みなどで壊れる可能性が高いことが19日、国土交通省などの調べでわかった。
この2棟は、耐震強度が建築基準法で定められた基準の3〜7割だったことが判明しているが、自壊の可能性も浮上したことで、今後、住民の退去が避けられない見通しとなった。
耐震強度などを示す構造計算書が偽造されていた問題の21棟(うち14棟は完成)について、国交省は、建築確認を行った民間の指定確認検査機関・イーホームズ(東京都新宿区)から関係書類の提供を受けて、強度の再計算を進めている。
船橋市の賃貸マンション「湊町中央ビル」(10階建て)と川崎市の分譲マンション「グランドステージ川崎大師」(9階建て)の計2棟については、19日までに、その作業が終了した。
この中で、建築物の骨格である柱や梁(はり)に、マンション自体の重みや家具や住民などの重量が常時、どれほどかかっているかを示す「長期応力度」を調べたところ、問題の2棟のマンションのそれは、建築基準法の許容範囲を逸脱していることが判明した。
構造計算を請け負った姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が、建物にかかる地震力の数値を約半分にして入力した結果、柱が細く、鉄筋が少ない建物ができあがっていたもので、国交省では「この長期応力度では、5年後とか10年後に、何も起きていなくても柱や梁が折れ曲がってくる恐れもある」とみている。
同省では今後、マンション1棟1棟について、補修工事で間に合うか、それとも建て替えが必要かを、地元自治体と協力しながら詳しく分析するが、問題の2棟については、極端な耐震強度不足に加え、長期応力度にも問題があることが判明したことで、建て替えの必要性はさらに高まった。
船橋市は20日、「湊町中央ビル」がある地元自治会向けに説明会を開く予定だが、入居者の男性会社員(26)は、「すぐに引っ越したいが、オーナー会社からは具体的な説明がなくどうしようもない」と怒りの表情。「グランドステージ川崎大師」の居住者からも「不安が増すばかり」との声が上がっており、川崎市が20日、説明会を開く。
(読売新聞) - 11月20日9時34分更新
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