2005年11月18日(金) 03時07分
<ニセ耐震>施主の依頼が書類偽造の原因か(毎日新聞)
千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書偽造問題で、東京都内の複数の設計事務所が、施主の業者からの紹介で姉歯建築設計事務所に構造計算を発注していたことが分かった。姉歯事務所は「コスト削減のプレッシャーがあった」と話しており、建設費を抑えたい施主の依頼が偽造の原因となった可能性がある。一方、偽造が発覚したマンションの住民からは「地震が多いので心配だ」との不安や怒りの声が上がった。
都よると、同事務所が偽造を認めた都内のマンションについて、元請の複数の設計事務所は「施主の業者から紹介を受け、姉歯建築設計事務所を下請け業者として使った」と説明した。施主はいずれも「自分たちは(何も知らず)被害者だ」と話したという。
特定非営利活動法人「建築Gメンの会」顧問で一級建築士の中村幸安さんは「マンションの価格競争は激しく、事務所は施主らから『コストを下げてくれ』との圧力を受けていたのではないか。クリアするために偽造した可能性がある」とみる。
偽造が指摘された千葉県船橋市の賃貸ワンルームマンション「湊町中央ビル」。住民の男性会社員(26)は、震度6弱(新潟県中越地震)を長岡市で経験しており、「地震の怖さは身に染みている。許せない」と憤る。同じマンションの会社員、井上昭人さん(24)は「新築で安全性は十分だと思っていたのに理不尽だ。最近、地震が多いのに」と不安を募らせた。
神奈川県藤沢市の分譲マンションは完成したばかりで、価格は4000〜5000万円台。女性住人は「怒り以前に信じられない気持ちと驚きでいっぱい。入居して1週間なのに……」と話す。
偽造が発覚した東京都中央区のホテル。17日夜は約200人が宿泊したが、偽造は知らせなかった。ホテルの親会社は「対応はホテル側と協議する。耐震性はこれから確認する」と説明した。
建設中のマンションの構造計算を、姉歯建築設計事務所に発注していた下河辺建築設計事務所(東京都大田区)。マンションは完成直前で契約をした人もいる。所長は「今月初めに建て主からの連絡で偽造の疑いがあることを知った。チェックしようがない」と話し、告訴も検討している。
(毎日新聞) - 11月18日3時7分更新
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