悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
三被告が海外の銀行に隠した計約九十四億円をめぐり、検察側が主張する追徴を認めて資金が国庫に入ると、被害者が損害賠償を求めても被害の回復が難しくなることから、高裁の判断が注目されていた。
仙波裁判長は判決理由で「被害者による損害賠償請求の可能性だけで追徴を禁止すれば、犯罪による利得が犯人からはく奪されずに手元に残されるという不合理な結果を招く」と述べた。
その上で「隠した金は組織犯罪処罰法で(国による)没収・追徴を禁止した犯罪被害財産にはあたらない」とした。検察側が求めていた押収金三億円余りの没収は、同法で没収などを禁じた犯罪被害財産に当たるとして認めなかった。一審判決は「被害者が犯人から民事訴訟で被害を取り戻す際、犯人の財産はその原資となる可能性があるため、法律で追徴・没収を禁じている」として追徴を認めなかった。
また、ヤミ金融組織の元幹部奥野博勝被告(29)には懲役四年六月、罰金五百万円、追徴金二十九億九千万円(一審懲役五年、罰金五百万円)、同元幹部松崎敏和被告(36)には懲役四年六月、罰金二千万円、追徴金十三億二千六百万円(同懲役五年、罰金二千万円)を言い渡した。
<メモ>
【追徴と犯罪被害救済】 追徴は国が刑事裁判の判決に基づいて、犯罪行為で得た利益や報酬に該当する額の納付を被告に強制する処分。追徴金は国庫に入り、犯罪被害者への分配ができないため、組織犯罪処罰法は被害者自身による民事手続きでの賠償請求の妨げにならないように、被害者から得た「犯罪被害財産」の追徴を禁じている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051117/eve_____sya_____003.shtml