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「消費者が被害者となりうる不公正な取引を元から断ちます」
十二月三日に大阪市内で設立総会が開かれるのは「消費者支援機構関西」。その目的を片山登志子弁護士はキャッチフレーズ風に説明する。
今年七月に「NPO法人京都消費者契約ネットワーク」「NPO消費者ネット関西」「近畿地区生協府県連協議会」などの七団体が「団体訴権の担い手となる組織を作ろう」と設立を呼びかけた。
以来、各団体の幹部らが毎週のように準備会合を開いている。片山さんは消費者ネット関西の専務理事だ。
団体訴権を認める法改正は来年、国会で審議され、〇七年に施行される見通し。消費者団体に認められそうなのは、事業者の不当な契約条項や悪質な勧誘行為の差し止めを求める訴訟だ。勝訴すれば、その事業者による消費者被害が広がるのを食い止める。
消費者が事後に損害賠償を得るのでなく、被害が出そうな事業者の行為を、被害が広がる前に消費者団体が差し止める。だから「元から断つ」という言葉になるわけだ。
京都消費者契約ネットワークは、賃貸マンションの退去時の修繕費負担をめぐる契約条項や、英会話学校の中途解約の違約金の契約条項について、業界団体や事業者に「消費者側が不利すぎる」と改善を求めてきた。
結果は芳しくない。ネットワーク理事の野々山宏弁護士は「『何の権限で申し入れているのか』と反撃されたことがある」と話す。
機構が消費者の代わりに訴訟を起こせるようになれば、こうした反撃は受けなくて済む。機構の事務所は、大阪府消費生活センター内に置かれ、専任の担当者一人が常駐する予定だ。
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十二月十七日には名古屋市内で、「あいち消費者被害防止ネットワーク」の発足の集いが開かれる。荻原典子弁護士(愛知県弁護士会消費者問題対策特別委員会委員長)ら弁護士有志と、名古屋勤労市民生協などの生協関係者らで、設立の準備をしてきた。消費者問題に関心を持つ学者、弁護士、司法書士、消費生活相談員、一般市民らに参加を呼びかけている。
団体訴権については「将来的に制度を活用するよう検討したい」という状態。関西の新組織ほどには研究が進んでいないためだ。当面は、契約トラブルや悪質商法などに関する学習会の開催を中心に活動する。
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東京では昨年九月、日本消費者協会や日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、日本生活協同組合連合会などが「消費者機構日本」を設立した。
事務所には専任の担当者三人が常駐しており、将来の訴訟の可能性をにらんだ情報収集活動などを行っている。
団体訴権を担うための組織としては現時点では“最強”。今年六月には「各種学校・塾・予備校など契約トラブル110番」を実施している。その結果を踏まえ、九月には大手英会話教室に解約時の精算規定の是正を申し入れた。
このほか、「NPO法人埼玉消費者被害をなくす会」や「NPO法人消費者ネット広島」も団体訴権の担い手となれるよう研究を進めている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20051110/ftu_____kur_____000.shtml