2005年11月10日(木) 15時09分
競売不動産 占有屋装い“振り込め詐欺” 落札者情報を悪用か(産経新聞)
大阪地裁、府警に通報
大阪地裁で競売にかけられた不動産を落札した人に、“占有屋”をかたって、物件の引き渡し金名目で数十万円を振り込むよう要求する文書が相次いで送りつけられていることが十日、分かった。競売物件の落札者の氏名や住所は一定の期間、自由に閲覧することができるため、これが悪用されている可能性が高い。地裁は極めて悪質な詐欺行為として大阪府警に通報するとともに注意を呼びかけている。
大阪地裁によると、十月末ごろ、競売不動産を落札した買い受け人から、封書に入った不審な「通知書」が送りつけられたと連絡があった。
書面には、落札した不動産物件が記されたうえで、実際には占有者が存在していないにもかかわらず、「私が監督・維持する目的で管理しております」と、競売物件に居座るなどして立ち退き料を要求する“占有屋”を装い、「明け渡すにあたり、承諾金を振り込んでください」と数十万円を請求する文言が書かれていた。
差出人名は「渡辺総業」という会社名で、振込指定口座を明記。大阪市内の住所と電話番号も明記されているが、いずれも架空とみられるという。大阪地裁には、今月七日までに十六件の問い合わせがあったが、実際に被害にあった人は確認されていない。
大阪地裁の不動産競売は、大阪地裁・簡裁合同庁舎(大阪市淀川区)の民事執行センターで行われており、競売結果は物件明細閲覧室で、約四十日間分は「売却許可決定」として落札者の住所や氏名が閲覧できるようになっている。
今回の通知書は、いずれも競売物件を実際に落札した人に送り付けられていることから、売却許可決定の個人情報が悪用された可能性が極めて高い。
また、競売物件に占有者がいる場合、裁判所は占有者に引き渡し命令を出すだけで、買い受け人が自ら交渉して立ち退いてもらわなければならず、差出人はこうした実態を利用して詐取しようとしたとみられる。
はがきや封書を使った振り込め詐欺は、インターネットや携帯電話でアダルトサイトなどを利用したとして、不特定多数の人に利用料金を請求する手口が一般的。
しかし、今回の例は公開された公文書を悪用し、特定の人を狙った悪質な詐欺行為として、大阪地裁は大阪府警に通報するとともに、「通知書」が送付された場合は警察に相談するよう呼びかけている。
(産経新聞) - 11月10日15時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051110-00000033-san-soci