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「東京都江東区の小学校を襲撃する。目標は八人処刑」。ネット掲示板「2ちゃんねる」に九月、殺人予告の不気味な文章が書き込まれているのが見つかった。「具体性がない。いたずらではないか」。江東区教委は小中学校に冷静な対処を呼び掛けた。区教委は「子どもに恐怖心を抱かせる卑劣な行為だ」と憤る。
七月には「明日、葛飾区の児童を包丁で殺害する」と書き込まれ、大半の小学校が児童を集団下校させる事態に。葛飾区教委は「内容が具体的で犯行が起こり得ると判断した。何度うそを書き込まれても対応せざるを得ない」と頭を抱える。
警察庁によると、昨年一年間に学校や企業に対する危害を予告した書き込みをしたとして、脅迫や威力業務妨害容疑で摘発されたケースは計六十八件に上った。二十一件だった二〇〇〇年に比べて四年間で三倍超となる急増ぶりだ。
警視庁によると、犯行予告の書き込みが見つかると、掲示板などのサイト管理者に通信記録の提供を要請。接続事業者を特定し、発信者の割り出し作業を進める。七月には、東京都品川区内の小学校名を挙げて襲撃予告を書き込んだ無職男(20)を威力業務妨害容疑で逮捕している。
犯行予告の悩ましさは、真偽が定かではない点だ。二〇〇〇年の西鉄高速バス乗っ取り事件では、犯人が直前に掲示板などに犯行をほのめかす意思表示をしていた。〇一年にJR新宿駅前で犯人が通行人を人質に取った事件でも、事前に犯行を予告していた。いずれも犯人は、ネット世界に精通した若者だった。
こうした犯行予告の横行について、立正大の小宮信夫助教授(犯罪社会学)は「現実の対人関係が希薄な分、ネット上で他人に認められたいという欲求の表れだ」と分析。ネットに詳しいジャーナリストの森一矢さんは「ネットが普及し、従来の手紙や電話での犯行予告がネットに移行しているのでは。結果的に愉快犯だったとしても、万一の危険を考え、警察への通報や警戒を怠るべきではない」と言う。
ある区教委の担当者は「報道すれば騒ぎが大きくなる」「模倣犯が出るのでは」などと訴える。報道する立場としても、同様なジレンマを感じることがある。だが、やはり事件の発生は正しく報道し、警察による摘発事例をより大きく伝えることが、安易な書き込みへの歯止めになるのではないか。今はこう、思っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051026/eve_____sya_____002.shtml