2005年10月23日(日) 00時00分
アダルト電話の架空請求事件(朝日新聞・)
「アダルト電話の利用料が未納」とうそをつき現金をだまし取ったとして、東京都内のアダルト電話管理会社の役員ら8人が逮捕された組織的な詐欺事件。組織解明のきっかけは、郡山市内で起きた傷害事件だった。被害額は全国で数億円とみられ、架空請求への消費者相談もここ数年で激増している。専門家は「請求は無視するのが大切」と助言する。 (常松鉄雄)
解明の糸口となった傷害事件は、郡山市内の自動車学校で起こった。
県警の調べでは、東京都内の山川大輔容疑者(38)と畠山修容疑者(27)=ともに詐欺容疑で逮捕=が今年7月、自動車学校を訪れ、教習中だった佐藤貴之被告(31)=詐欺罪で公判中=を呼び出し、いきなり暴力を振るった。2人は佐藤被告を校長室に連れて行き、「逃げても無駄だ。金を返せ。お前を殺すよ」などと脅迫したため、学校側が郡山署に通報したという。
事件は、山川容疑者の関係するアダルト電話利用料請求会社でアルバイトをしていた、佐藤被告と太田賀之被告(33)=同=が、利用者データを無断で持ち出したための「報復」だった。
県警は、佐藤、太田の両被告が持ち出した情報を使って架空請求していたとして、詐欺容疑で逮捕、起訴し、さらに2人の供述をもとに、捜査を進めた。
請求会社は山川容疑者が03年4月に設立。今年に入って、大久保篤史容疑者(27)=詐欺容疑で逮捕=が社名を変更して引き継いだ。同社は、奥玉直宏容疑者(36)=同=の仲介会社を通して、アダルト画像などの番組を配信する、関谷和弘容疑者(41)=同=の管理運営会社から、携帯電話の通信履歴データを入手していたとみられる。
県警の捜査幹部は「仲介会社を通じた、こうした『小宇宙』は、インターネットなどの見えないところで無数に広がっている可能性がある」という。
押収した資料や供述などをもとに、県警は今月、7月に大阪府内に住む40代の男性から約19万円をだまし取ったとする詐欺容疑で、請求会社事務員の山崎加菜容疑者(27)を含む6人を逮捕した。
請求会社から押収したパソコンには、北海道から九州まで約1万人に及ぶ利用者データがあったという。県警では、架空請求詐欺の被害は、数億円に上る可能性があるとみている。
国民生活センター(東京)によると、全国で架空請求についての消費者から寄せられた相談は02年度、約7万6千件だったが、04年度は約67万件と急増したという。県消費生活センターの調べでは同年度、県内でも5495件あり、全相談の約35%を占めた。その大半が、アダルト情報番組を巡るトラブルだという。
専門家はトラブル激増の背景を、社会問題化した「ヤミ金融」の関係者が、オレオレ詐欺や架空請求詐欺に流れたと説明する。また、インターネット上で手口が公開され、「素人」が便乗するケースも目立つという。
消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「使ったと言われても契約のレベルになく、請求の根拠がないケースが多い。折り返し連絡するなど、変に対応すると逆に追い込まれていく。請求があっても無視することが大切」と話している。
(10/23)
http://mytown.asahi.com/fukushima/news02.asp?kiji=7718
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