2005年10月21日(金) 07時06分
「開かれた学校」HPが落とし穴 ネット殺害予告(河北新報)
丑田祐輔容疑者(23)は女児の学校のホームページ(HP)に女児の氏名が掲載されているのを見つけ、標的にした。防犯上、HPから児童、生徒の氏名や写真を削除する学校が増えている中、今回の事件で、HPの匿名化を強化したいという学校関係者は少なくなく、学校の主役の子どもが学校のHPから消え去る懸念も強まっている。
女児の学校は、HPに児童名を載せる場合は通常、イニシャルにとどめているが、今回は「チェックミス」(校長)で実名を掲載した。学校は落ち度を認め、女児に謝罪する意向を示している。HPは書き込みのあった9月16日に閉鎖され、校長は「情報を発信して開かれた学校にしたかったが、閉じざるを得なかった」と話している。
学校HPは学校活動の広告塔で、「開かれた学校」の象徴と言っていい。市教委も「善行をした児童、生徒の名前を載せることなどは本来、教育的に好ましい」(教育センター)と考えている。
しかし、HPは不特定多数に閲覧される「宿命」を負い、HPに名前や写真の載った子どもが犯罪者に狙われる被害が後を絶たない。「学校は子どもを危害に遭わせないことが最優先。こういう事件が続けば、必然的にHPの匿名化は進む」(小学校教諭)という。
危機管理コンサルタント会社「クライシスインテリジェンス」(東京)の浅利真代表も「学校はネットに安易に個人情報を出すべきでない。教育者は性悪説も念頭に置きながら『開かれた学校』の在り方を考えるべきだ」とHPの匿名化もやむを得ないとする立場だ。
市教委も2003年度、「児童、生徒の個人情報を発信する場合、著作権や肖像権の保護に十分留意し、児童、生徒と保護者の同意を得る」との要綱をまとめ、各校に通達した。
HPの匿名化進行は学校の過度な抑制を生み、市内の小学校のHPでは児童の顔が判別できないように目の部分をモザイク処理したり、後ろ姿を撮影したりする写真が目立つ。
学校関係者は「ゾッとする異様な感じで、子どもたちのはつらつとした学校生活を伝えるHPの本来の姿が失われた」と指摘。市教委幹部は「個人情報の取り扱いについては、どこの学校も苦慮している」と明かす。
教育センターの糟谷文夫所長は「難しい問題で簡単には答えが出ない」と断った上で、「児童の氏名も写真もないHPは開設の本来の趣旨に反しており、閉鎖的なものに後退しないよう取り組む」と述べている。
(河北新報) - 10月21日7時6分更新
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