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15日からの新聞週間にちなむ読売新聞の二つの特集記事に目をひかれた。「縮む部数 進むネット融合」と題した、〈アメリカ新聞事情〉(8日朝刊)と、読売メディア・フォーラム「IT時代のメディア像 読まれるための挑戦」(10日同)である。
前者は最新新聞事情研究のために米国全土を回った松井正記者の報告であり、後者は米英の有力3紙幹部を招いての報告と討議の内容で、ともに、インターネットに代表されるIT時代に、「新聞」が存在価値を維持し続けるためには、いかにあるべきかの模索を赤裸々に提示した。
興味深かったのは、内容もさることながら、ウェブサイトのヨミウリオンライン(YОL)でさらに肉付けをするというIT関連記事にふさわしい実験的な取り組みがなされた点だ。
とりわけ〈アメリカ新聞事情〉は、本文に加え、取材対象者のニューヨーク・タイムズデジタル編集長はじめ4人の発言を字幕付きのビデオで紹介しているのが斬新だ。ビデオは計25分近くあり、なかでも図解しつつ熱弁をふるうギルバート・ハーバード大助教授の姿に引き込まれた。記事に沿ってポイント部分を抽出する作業は大変だったろうが、IT活用が記事に信頼性と深みを与える先駆けになったのではないか。
フォーラムの方も、本文以外に、3紙幹部の基調講演の英文の全文もYОLに載り、さらにCS放送G+(ジータス)の「読売ニュースナビ」でフォーラムの内容を紹介・解説し、それをYОLでもオンデマンドで視聴可能にするといったマルチチャンネルの発信を試みている。
1998年、神戸で開かれた世界新聞大会は、「新聞の未来像」をテーマに、初めてネットと向かい合った。識者がネットへの積極的な対応なしに新聞は生き残れないと指摘したのに対し、経営者たちは「新聞のブランド力は強い。不安はない」と反論した。それから7年。舵(かじ)は着実に切られようとしている。(ITジャーナリスト 島田範正)
http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051018nt04.htm