2005年10月18日(火) 15時20分
喫煙は「病気」 9学会、初の治療指針(産経新聞)
美容の“天敵”周知
たばこを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」であり、患者(喫煙者)には「積極的禁煙治療を必要とする」−。日本循環器学会など九学会の合同研究班が十八日までに、「禁煙ガイドライン」を作った。一般医師向けの初の治療指針で「たばこを吸わない社会習慣の定着」が目標。カウンセリングや患者自身でできる行動療法の具体例に加え、女性には美容にも悪影響であることを知らせるなど、患者に応じた治療方針を盛り込んでいる。
指針は、禁煙に効く行動療法として「喫煙者に近づかない」「吸いたい衝動が収まるまで秒数を数える」などを挙げた。
また、禁煙の意思がある患者には、自分で禁煙計画を作らせ「節煙より早道」「開始直後はアルコールを控える」とカウンセリングを実施。意思のない場合は、呼気中の一酸化炭素濃度を測って教え動機付けに役立てる、とした。
薬物療法では、ガムやパッチを使うニコチン代替療法を推奨した。離脱症状が軽く成功率を高め、禁煙による体重増加を遅らせる効果もある。一方で、治療中の喫煙はニコチンの過剰摂取につながるなど注意も必要だ。
未成年には頭ごなしの言い方を避け、喫煙が病気であることを理解させる。女性ではしわ、口臭など美容にも影響することを知らせるなど、患者に応じた指導を強調している。
医師にも、日本の男性医師の喫煙率は20%強で、欧米の医師(男女)の5%前後に比べて高い、と自省を求めた。たばこの値上げや広告禁止など、社会環境の整備の必要性も指摘した。
指針は十一月以降、循環器学会などのウェブサイトに掲載される。
研究班長の藤原久義岐阜大教授(循環器内科)は「自分の意思で喫煙をやめられるのは5−10%程度。すべての医師が患者の喫煙を把握し、治療を勧めることが必要だ」と話している。
■喫煙と健康被害 たばこの煙は、ニコチンや発がん物質など多くの有害物質を含む。喫煙はがんの原因では単独で約30%を占め、呼吸器、循環器、消化器など、さまざまな部位に病気をもたらす。喫煙男性の妻の肺がん死亡率は非喫煙男性の妻より高く、家庭内の喫煙で子供の肺炎、気管支炎なども増えるなど周囲への影響も大きい。
(産経新聞) - 10月18日15時20分更新
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