2005年10月09日(日) 03時06分
<ヤフー>男性の抗議無視し、不当引き落とし2年半以上 (毎日新聞)
ネットオークションなどを運営するヤフー(東京都港区)が、東京都内の男性(34)のクレジット口座から、実際には使っていないブロードバンドサービスの利用料名目で不当な引き落としを2年半以上続けていたことが分かった。ヤフーは男性の問い合わせを事実上無視して計約11万円分を徴収していた。ネットの専門家は「ネットやカードの普及でこうしたミスは見過ごされがちだ。被害は氷山の一角では」と指摘する。【大平誠】
男性は、オークション利用と、ブロードバンドサービス(ヤフーBB)利用の二つのIDを持っており、それぞれのIDの利用手数料を同一のクレジットカードの引き落としで決済していた。
ところが、03年3月末のクレジット利用明細から「ヤフージャパン」名による毎月約3750円の引き落としが増えた。不審に思った男性は、同社にメールで「請求理由が分からない」と問い合わせたが、ヤフーからは「家族や知人が勝手に登録したのでは」と言われ続けたという。
昨年末になって、ようやく「ご利用の二つのIDとは別のIDがございました」と、ヤフーBB用のIDによる徴収だったことを初めて認めた。男性は請求の即時停止を求め続けたが、ヤフーは「クレジット会社に問い合わせを」などと答えるだけで、不当請求を認めずに、引き落としを続けた。
ところが、今年8月初旬、ヤフーの担当者から男性に謝罪の電話があり、請求を停止し返金すると約束したが、詳細な説明はなかったという。男性は「何でこうなったのか一切説明もないし、調査の報告もできないの一点張りだ。直接来て釈明をする義務ぐらいあるはずだ」と憤慨している。
ヤフー広報は毎日新聞の取材に「こちらのミスで、第三者への請求が誤って男性のクレジットから引き落とされていた。想定外のケースだったために、十分な対応が出来ずに申し訳ない。今月末には男性の口座に返金する。原因調査を続けて、再発防止に努めたい」としている。
ヤフーをめぐっては、今年7月、IDを勝手に使われた女性がオークションへの不正出品を知り、出品を削除して詐欺を未然に防いだにもかかわらず、女性から取り消し手数料を徴収した問題や、昨年ヤフーBBの会員660万人分の顧客情報の流出などが発覚している。
◇被害拡大の恐れも
ネット社会に詳しい岡村久道弁護士の話 システムの設計ミスで誤処理が行われたとすると、被害が拡大する恐れもある。情報セキュリティーの不備が原因で個人情報が不適切に取り扱われたとすれば、個人情報保護法に抵触する可能性があり、問題は大きい。情報の打ち込みだけで決済が出来るクレジットカードは、ネット社会の中で制度疲労を起こしており、こうした被害が後を絶たない。ネットとクレジットの組み合わせを根本的に考え直す時期がきている。
(毎日新聞) - 10月9日3時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051009-00000013-mai-soci