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BSE問題を審議してきた食品安全委員会の専門調査会は、輸入が中断している米国やカナダ産牛肉について、BSEの病原体である異常プリオンによる汚染の可能性が「非常に低いと考えられる」との評価案を示した。この方向で最終的にまとまる見込みで、来年早々にも輸入が再開されそうだ。
だが、評価案にはリスク低減のための、と畜の際の一連の条件が「順守されれば」との条件付きである。この指摘を軽視してはならない。
これまでの日米協議で、日本側は輸入対象の牛肉の月齢をリスクの少ない二十カ月以下に限定するよう求めてきた。米国は当初反発したが、最終的に日本の提案を受け入れた。
異常プリオンが蓄積しやすい脳など「特定危険部位」(SRM)の除去の対象は、米国内では月齢三十カ月以上で先進国で最も緩いが、日本向けに限ってすべての牛を対象にすることで両国は合意している。
心配なのは、輸入再開後、これらの条件が守られるのかどうかだ。
日本では二〇〇三年十二月以降、牛の生産から小売りまでの履歴を一頭ごとに把握する「個体識別情報管理(トレーサビリティー)システム」が普及し、ほぼ完全に月齢を把握できるのに対して、米国やカナダでは依然として不徹底である。
それを補うものとして米国は、肉や骨の「成熟度」による月齢判別法も取り入れるが、その「格付け検査員」の資質が常に一定レベル以上に保たれるのかどうか疑問が残る。
米国内の一部のと畜場では、日本向けとそれ以外の生産ラインを別にして、日本向けだけすべての牛のSRMを除去する体制を既に整えているが、こうした体制が他のと畜場でもとられるのかも知りたい。
厚労、農水両省は食品安全委員会の最終評価を受けて輸入再開を決める前に、こうした疑問にきちんと答える必要がある。
米国産牛肉の輸入中断前、日本向けの牛肉を生産していたと畜場は米国内だけで四十カ所あったという。
輸入再開後、これらのと畜場で輸入条件の順守をどう確認するのか。 米国が査察受け入れを認めている以上、日本がその具体的な方法を明確にしないと国民は安心できない。 アジアでは韓国、台湾、香港も米国産牛肉の輸入を中断している。これらの国・地域は日本の対応に注目していることを忘れてはならない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20051008/col_____sha_____002.shtml