2005年10月04日(火) 02時44分
次世代DVD規格争い 米パラマウント、BD方式も支持 ハリウッド囲い込み(産経新聞)
高画質な映像を長時間録画できる次世代DVD規格をめぐる争いで、米映画大手のパラマウント・ピクチャーズは二日、ソニーが中心となって提唱する「ブルーレイ・ディスク(BD)」方式を支持すると発表した。同社は東芝などが推進する「HD DVD」方式に賛同してきたが、両方式に映画ソフトを提供するとみられる。両規格が市場で併存することが濃厚になったことで、両陣営は有力なコンテンツ(情報の内容)を抱える米ハリウッド(映画業界)の囲い込みを活発化させている。
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次世代DVD規格では、ソニーや松下電器産業が中心のBD陣営と、東芝やNECが推進するHD陣営が業界標準を争ってきた。今春には「かつてのVHS対ベータのような争いは避けたい」(大手電機メーカー首脳)として、両方式の技術を取り入れた第三の規格への統一を模索。しかし、ディスク構造の違いなどで両陣営は互いの主張を譲らず、規格統一交渉を中断した。
その後、両陣営では「消費者の利益のため、統一に向け努力する」としてきたが、その一方で米ハリウッドやコンピューター業界などにそれぞれ支持を求めていた。先月末にはコンピューター業界に影響を持つ米マイクロソフトとインテルが、HD方式の支持を表明している。
パラマウントではBDの著作権保護技術の優位性に加え、ソニーが来春に発売する次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)3」への搭載で普及が進むとみて、BD支持を打ち出した。ただ、すでにHD方式の映画ソフト発売も発表しており、両陣営にソフトを供給するしたたかな戦略を講じるとみられる。
しかし、両規格でソフトを販売すれば、製造コストが高くなるほか、流通コストもかさみ、米映画会社にとって二規格併存は収益を圧迫する要因になる。また、消費者にとってもBD方式のプレーヤーを購入した場合、ディズニーの新作は見られても、「ハリー・ポッター」シリーズの新作は見られないといった事態が起きかねず、買い控えによる次世代DVDの普及が遅れる事態も予想される。現在ではDVD販売の収入が映画の興行収入を上回っている米映画会社にとり、「年間四千億円の被害」(業界関係者)とも指摘される海賊版の被害防止は喫緊の課題だ。それだけにコピー防止機能が強化された次世代DVDへの期待は大きく、普及の遅れは避けたいところ。
来春にはPS3が発売される一方、HD陣営も年末から来年にかけてプレーヤー(再生機)を発売する計画だ。第三規格による統一は困難な情勢だが、「不利益を被る米映画会社が働きかけて規格が一本化される可能性もある」(業界関係者)と指摘されている。
(産経新聞) - 10月4日2時44分更新
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