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2005年09月22日(木) 02時29分

携帯各社、相次ぎサービス強化 番号継続制前に顧客「囲い込み」産経新聞

 携帯電話各社が、早ければ来年夏にも導入される「番号ポータビリティ」(番号継続制)を見すえ、相次いで料金割引サービスを打ち出している。KDDI(au)は二十一日、小中学生と六十歳以上の加入者を対象に基本使用料を最大55%割り引く新たな割引サービスを発表。ボーダフォンは七月に家族間で話し放題になる通話定額サービスを業界で初めて導入した。契約会社を変えても電話番号を継続できる番号ポータビリティが始まればシェアが大きく塗り変わる可能性もあるだけに、既存顧客の「囲い込み」を目指した料金競争は過熱しそうだ。
 KDDIが十一月十四日に開始する新割引サービス「家族割 ワイドサポート」は、小中学生と六十歳以上が家族と同じauの携帯電話に加入して一定条件を満たした場合、基本使用料を最大55%割引し、月額千五百七十五円に値下げする。これに合わせて家族単位の料金割引サービス「家族割」の対象となる契約回線数の上限を六回線から十回線に拡大。「家族みんなで入っていただけるサービスにした」(幹部)とアピールする。
 KDDIは、高速通信ができる上位機種の料金プランも十一月一日から大幅に変更。基本使用料を最大五百円値下げするほか、長期契約者への基本使用料の割引率やその適用年も拡大する。
 シェア五割超と最大手のNTTドコモは、昨年から家族割を拡充してきたが、十一月一日からは長期契約者への割引率も拡大。十年超の契約者では基本使用料を25%割り引くなどKDDIと同内容のサービスもスタートするなど、ライバルを意識している。国内三位のボーダフォンも、月額三百十五円を払えば家族同士の通話が無料になる業界初のサービスを導入するなど、加入者の呼び戻しに力を入れる。
 各社がこうした料金割引で顧客つなぎ止めに力を入れる背景には、約一年後に迫った番号ポータビリティがある。これまでは電話番号の変更を嫌って会社を変えるのを躊躇(ちゅうちょ)するユーザーが多かったが、新制度では「一気に大移動が起きる」との見方も少なくないからだ。これまで各社が注力していた新規獲得が頭打ちに近づいていることもあり、「既存顧客の解約率低下を重要課題に置く」(ドコモ幹部)との戦略に転じた格好だ。
 ただ、囲い込みに伴う料金競争は各社の重荷となる。ドコモが「平成十九年に約百億円の減収もあり得る」と指摘するほか、KDDIも「今年度は約七十五億円の減収になる」と予想する。こうした状況についてKDDIの小野寺正社長は「料金競争で独自色を出すのは難しい。単純な値下げ競争はしない」とする。しかし、ソフトバンクやイー・アクセスが来年以降に携帯電話への新規参入を目指しており、料金競争がさらに加速する可能性も指摘される。
(産経新聞) - 9月22日2時29分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050922-00000002-san-bus_all