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2005年09月02日(金) 02時47分

オウム賠償3年延長へ 4億円の未払い解消産経新聞

 オウム真理教(アーレフに改称)による一連の事件の被害者賠償をめぐり、破産管財人の阿部三郎弁護士と教団の間で、今年六月末で終了した賠償支払期限が三年間延長される見通しとなったことが、一日分かった。近く基本合意する予定で、未払いとなっている約四億円の賠償金支払いの道筋がつけられることになる。一方で、支払いの前提となる教団の存続と経済活動の延長が黙認されることにもなり、被害者らの不満が高まる可能もある。
 阿部弁護士によると、今年六月、教団側の弁護士から、支払期限の延長の申し出があり、協議を重ねてきた。今月七日に行われる協議で合意に達する見込みで、裁判所の許可を得て正式に延長が決まる。
 現在の教団と阿部弁護士は平成十二年七月、旧教団から約四十億円の債務全額を引き継ぎ、うち約九億六千万円を五年間で支払うなどとする被害者賠償案に合意。同年十二月から毎月の分割金の支払いが開始された。
 被害救済を受けているのは、松本、地下鉄両サリン事件の被害者のほか、教団施設の近隣住民や、寄進の返還請求者らが含まれている。
 しかし、十四年ごろから教団への信者の寄付金総額などが落ち込んだことから、毎月の賠償金が予定されていた支払額のペースを下回り始めた。
 六月末現在で支払われたのは計約五億六千万円で、予定支払額の四割ほどにあたる約四億円の債務が残った。そのため当初は今年に最終配当を行い、破産管財業務を終了する予定だったが、見直しを行うことになった。
 阿部弁護士は「今度は三年以内に支払いができるように進めていく。経済活動も反社会的な行為に基づかないものになるように要望していく」と話している。
     ◇
≪補償には前進も苦渋の教団存続≫
 管財人と教団が債務支払期限の延長で合意する見通しとなり、滞っていた被害者への補償は前進することになった。半面、補償の継続は教団活動に“お墨付き”を与えることにもなり、教団の早期解散を求める被害者にとっては、ジレンマが残る形だ。
 平成十二年の賠償計画の合意の際、オウム被害対策弁護団は被害者の声を代弁し、破産管財手続きに対し感謝を示した。だが、パソコン事業をはじめとする教団の経済活動を容認することは「承諾できない」と訴えた。教団が勢力を戻すような要素は、賠償金獲得の手段であっても認められないという思いからだ。
 それから五年、不安を裏付けるように、教団の縮小に歯止めがかかる傾向が出てきた。
 地下鉄サリン事件以降、逮捕された信者約四百人のうち四分の一程度が教団に復帰。信者数はピーク時と比べれば減ってはいるものの、出家、在家合わせて千六百人前後で推移している。
 麻原彰晃被告(50)=本名・松本智津夫=の影響力は依然大きく、写真やテープが修行に使われるという動きもある。
 昨年には、塗り薬を無断で販売した薬事法違反容疑で教団最高幹部らが逮捕され、信者による違法行為が繰り返されている。こうした違法行為の言い訳に経済活動の容認が利用されかねないという懸念が依然ある。
 「解散して存在をなくす以外に、精神的な回復はない」と被害者ら。支払期限の延長が、オウムの活動活発化をもたらすことがないよう希望しており、関係当局による監視が求められる。
(産経新聞) - 9月2日2時47分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050902-00000016-san-soci