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「やせたいんですが」「肌に良い水はないか」−。ミネラルウオーターの専門店「AQUA STORE AND BAR CONCEPT」(港区西麻布)の“水のソムリエ”山中亜希さん(32)には、訪れた女性客から美容に関連する多くの相談が寄せられる。「老廃物の代謝によい弱酸性の水を勧める。飲むだけでなく、化粧水の代わりにそのまま使ってもらうこともできる」
同店は昨年八月開店。イタリアに本店があり、同国外に進出した第一号店だという。山中さんは本店などで、ワインと同様、テイスティングや料理との合わせ方など「アクア(水の)ソムリエ」の講習を受けた。
同店で販売している水は現在、四十四銘柄五十九種。価格は百円程度から、「水のドンペリ」といわれる千八百九十円のものまで。来店するのは三十−四十歳代の女性が多いが、レストランやバーの従業員らも仕入れや相談に来る。
料理によっても勧める水は違う。「豆腐や野菜などの和食には軟水がよいが、肉料理や天ぷらなどは硬度が高く、炭酸の入った水がよい。消化を助ける働きがある」と説明する。水の硬度は基本的にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの含有量で決まる。ミネラルが多いと硬度が高いという。
コーヒーや紅茶は、軟水の方が本来の味をよく引き出すが、「苦味や渋味も出てしまうため、少し硬度がある水を使うと、味がまろやかになる」そうだ。酒を飲む場合も、「例えばスコッチならスコットランドの水がやはり合う」と勧める。
脳こうそくなどの高齢者を介護する人から相談を受けることも。山中さんは「通常、代謝をよくするため、量を多く飲むことが大切。ナトリウム含有量などには気を付けながら、好きな味の水をみつけてもらうのが一番」とアドバイスする。
同店では、硬度が高く、炭酸の入った水の売り上げが伸びている。「イタリアで研修を受けた際、日本人には無炭酸の軟水を出さないとだめ、と教わった」と山中さんは笑う。だが、売り上げの現状をみると、「海外旅行などで、日本人も水の味の違いが分かってきたのだと思う」と話す。
■専門店の売り上げ順調
飲料水専門店「バーミーズ」(北区王子)も約四十銘柄百種類の水を販売。同店には水の味の違いを理解してもらうための「試飲」がある。記者も硬度の高い水と、低い軟水を飲み比べてみた。硬水には明らかに軟水にはない味があると分かる。社長の羽生則昭さん(56)は「これがミネラルの味」と説明する。
羽生さんは大手コンピューター会社に勤務していた当時から、海外出張などで知ったミネラルウオーターの豊富さなどに興味を持ち、早期退職して同店を昨年八月に開いた。インターネットでの注文にも応じ、北区内限定で無料配達のサービスも行っている。
同店でも健康や美容に関連した相談は多い。羽生さんは今年に入り、あらためて「水ってすごいと思った」と言う。アトピーの女性客が羽生さんの勧めた水を約一カ月飲み続け、肌が良くなったと喜ばれたという。「消毒された水道水が合わなかったことは考えられる」と羽生さん。この経験もあって、「水で健康面のサポートができる」と考えている。
飲料水メーカー七十八社が加盟する「日本ミネラルウォーター協会」(新宿区)の統計によると、ミネラルウオーターの昨年の消費量は十年前の三倍近く、市場規模も千三百七十五億円(九四年・四百八十七億円)に成長。同協会は「まだ伸びる」とみている。だが、羽生さんは「水を売るだけでは足りない」と言う。「専門店である以上、水に関する情報提供が大切だし、客からも情報を得ていきたい」と意欲をみせた。
文・古田秀陽
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050826/mng_____tokuho__001.shtml