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2005年08月20日(土) 12時11分

<バイオックス>米で夫副作用死の鎮痛剤、日本で個人輸入も毎日新聞

 【ワシントン吉田弘之】米製薬大手メルク社の鎮痛剤「バイオックス」の副作用で夫が死亡したとして女性が同社を相手取り損害賠償を求めた裁判で、テキサス州地裁の陪審団は19日、女性の訴えを認め、メルク社に総額2億5340万ドル(約280億円)の支払いを命じる評決を下した。
 バイオックスの03年の売り上げは約25億ドルで、同社総収入の約10%を占めた。だが、「18カ月以上服用すると心臓病にかかるか心臓発作を起こす危険性が2倍になる」との調査結果を受け、04年9月に販売停止した。日本では発売されていない。
 訴えていたのは同州在住のキャラー・アーネストさん。訴状によると、バイオックスを服用していた夫のロバート・アーネストさん(当時59歳)は01年、突然心臓発作で死亡した。
 メルク社は、死因は動脈狭さくなどでバイオックスの副作用ではないと主張。しかし、検視した病理学者は「動脈狭さくは認められず、心臓発作が起こるには早すぎる」と証言していた。
 バイオックスを巡っては全米で約4200件に上る損害賠償や製造物責任訴訟が進んでおり、評決は今回が初めて。メルク社は同日、「信頼出来る科学的証拠がない」として控訴を表明した。
 賠償額は、企業側に悪意があった場合に適用される懲罰的損害賠償2億2900万ドルを含んでいるが、テキサス州法は懲罰的賠償額を制限しており、メルク社に課せられた場合の賠償額は約2600万ドル程度となる見通しだ。
   ×   ×
 バイオックスは、炎症を起こす酵素を選択的に抑える「COX2阻害薬」と呼ばれる新世代の鎮痛剤。胃かいようなどの副作用が少ないとされ、世界80カ国以上で売れた。
 日本でも保険適用に向けた臨床試験が進んでいたが、心臓病の副作用が明らかになり、中止された。個人輸入による服用患者がいたとみられる。
 東京女子医科大膠原病リウマチ痛風センター所長の鎌谷直之教授(リウマチ学)は「もともと日本人のリウマチ患者には胃かいよう発症例が少なく、バイオックスの代替薬もある」と話す。
(毎日新聞) - 8月20日12時11分更新

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