2005年08月13日(土) 03時17分
監修料禁止したら…社保庁の出版物購入59→1種類に(読売新聞)
2003年度までの5年間に「業務に必要」などとして、59種類の出版物を公費で購入していた社会保険庁が、監修料の受け取りが禁じられた04年度から、1種類を除きすべての購入を打ち切っていたことがわかった。
購入をやめた出版物は、本来は不必要だったのに、監修料を受け取るために買っていた疑いが強い。こうした出版物の購入費用は、5年間で計約41億円に上り、そのほとんどが無駄な支出だったとみられる。
社会保険庁などによると、同庁では長年にわたり、職員が監修した出版物を厚生保険特別会計などの予算で購入。その部数は1999〜03年度の間、少なくとも59種類計1569万部に上り、約41億1590万円が出版元の財団法人などに支払われた。
一方、職員らはこの期間、出版元から計3億6463万円の監修料を受け取り、組織的にプールしてタクシー代や飲食代などに使っていた。
このうち、03年度に購入していたのは、社会保険六法、業界関係者名簿、同庁職員の座席表など、職員が使う4種類の出版物と、保険加入事業者や被保険者などに無料配布する10種類の小冊子の計14種類。そのために、4億3000万円余りの公費が使われた。
ところが、04年4月、厚生労働省の印刷物発注をめぐる贈収賄事件で、贈賄業者が職員に多額の監修料を支払っていたことが発覚。当時の坂口厚労相が監修料の受け取りを禁止する方針を打ち出し、同庁は04年度は、社会保険六法以外すべての購入を中止していた。
同六法も、03年度までは職員1・4人に1冊が行きわたる1万2000部(約1億1000万円)以上買っていたが、04年度は4510部(4025万円)に減らした。
保険加入事業者らに毎年配布していた10種類の小冊子は、「健康保険・厚生年金保険事務手続きマニュアル」以外、配布そのものを中止した。
同マニュアルについても、それまでは財団法人「社会保険協会」から購入していたが、04年度は職員が業務として編集、印刷だけ外注することにした結果、1部480円だった単価が約17分の1の28円14銭に安くなり、全体の支出金額も約2530万円(5万2700部)から173万円(6万1450部)に削減された。
同庁では、今年度も04年度と同様、同六法以外は購入しない方針という。
こうした実態について、監修料問題を追及している長妻昭・前衆院議員(民主)は「六法と『事務手続きマニュアル』以外は、業務の遂行に不必要だったということ。小遣いを稼ぐために税金を浪費していたことの動かぬ証拠だ」と批判。
これに対し、同庁は「監修料とは別な次元の問題として、小冊子などの配布や購入の必要性を検討した結果だ」と説明している。
(読売新聞) - 8月13日3時17分更新
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