2005年08月06日(土) 19時04分
公取委、三井住友銀に報告命令…地位利用で商品販売?(読売新聞)
三井住友銀行が、融資を行うという取引上の優越的地位を利用して融資先の複数の中小企業にデリバティブ(金融派生商品)を買わせていたのは、不公正な取引方法を禁じた独占禁止法に違反している疑いがあるとして、公正取引委員会が取引内容について同法に基づく報告命令書を出し、審査に乗り出したことが6日、明らかになった。
銀行の融資に関連した金融商品の購入要請について、公取委が審査するのは異例だ。違反事実が確認されれば、大手銀行に対して初めての排除勧告が出ることになる。
独占禁止法は、取引上で優位な立場にある者が無理に商品購入や取引を勧めることを「優越的地位の乱用」として禁じている。
公取委は、金融機関が融資先企業に対し、要請に応じなければ融資で不利な取り扱いをすると示唆しながら、デリバティブなど金融商品の購入を要請することは、独禁法上問題となる行為として例示しており、公取委は今後、三井住友銀の具体的な販売手法を詳しく調べるとみられる。
関係者によると、三井住友銀は、少なくとも数年前から、こうした金融商品を、無理に購入させた疑いが持たれている。
この金融商品は、一定額を銀行に支払うと、5〜10年の契約期間内に市場金利が上昇しても、融資金利の上昇を一定水準に抑えられる「保険」のような役割を果たす。変動金利で融資を受けている企業にとって、契約後に市場金利が大きく上昇しても、際限ない金利上昇に歯止めをかけることができるメリットがある。
逆に、現在の超低金利が続いた場合、金利軽減の恩恵を受けることなく、借入金金利と金融商品の購入代金は必ず支払わなければならないだけに、企業側のメリットは乏しい。
一方、三井住友銀は金融商品を販売すれば、多額の手数料収入を得られる。
三井住友銀に融資を申し込んだある中小企業経営者は、融資担当者にこの金融商品を勧められ、「購入しなければ融資を断られる」と考えて購入した。金融商品の契約期間が長期のため、契約期間中は融資の継続が保証されると考えて購入した経営者もいる。この経営者の企業は購入後、融資が途中で打ち切られ、中途解約もできずに、経営が悪化したという。
三井住友銀行の話「公取委の報告命令を受けたかどうかは、現段階では確認できない。金融商品は一定のルールに基づいて販売しており、特段の苦情なども把握していない」
(読売新聞) - 8月6日19時4分更新
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