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2005年08月03日(水) 15時27分

<消費生活問題>苦情調停18年ゼロ 埼玉県の処理部会毎日新聞

 埼玉県で県民からの消費生活の苦情を解決するため、調停やあっせんなどを行う知事の付属機関「消費者苦情処理部会」が、87年の設置以来、処理実績が一件もないことがわかった。部会の委員らは年1回程度の会合に出るだけで報酬を得ている。同県富士見市では認知症の姉妹の訪問リフォーム問題が発覚しており、関係者からは「処理部会が機能していれば、こうした問題は起きなかったかもしれない」との声が出ている。
 苦情処理部会は、消費者の利益擁護などのために知事の諮問に応じて調査する「県消費生活審議会」の下部組織。「埼玉県民の消費生活の安定及び向上に関する条例」に基づき、消費者からの苦情を受けて調停やあっせんのほか、消費者が業者を相手に訴訟を起こす場合に県が援助するかどうかの判断などを行う。
 条例は、部会が審議するものとして、県消費生活支援センターに寄せられた相談のうち、「解決困難な場合」や「必要があると認める時」としている。県には、昨年度だけでも9万5282件の相談があるなど、部会設置以来多くの相談が寄せられているが、センターから部会に審議が委託されたことはなかった。
 処理部会のメンバーは、生活審議会の委員(20人)から審議会会長が指名した7人で構成され、現在は弁護士、消費者団体の代表、経済界の代表が各2人と大学助教授が務めている。任期は2年だ。処理部会は87年4月に設置されたが、1年に1回程度、部会長の選任や事務連絡のための会合が開かれるだけで、メンバーは会合1回の出席につき、1万4000円(交通費は別途支給)を得ている。
 同センターの石田英夫・相談担当部長は「部会に審議を付託するのになじむ案件がなかった。今後は、消費者からの相談の延長として積極的に運用していきたい」と説明。また、部会会長の猪股正弁護士は「センターからの付託はなく、制度上部会が自ら動くことはない」と話している。
 富士見市で今年5月に発覚した認知症姉妹が悪質なリフォーム工事で約5000万円を支払った問題では、市が業者との間で返金交渉を行うなどしている。市の関係者は「部会が動いていれば悪質業者への抑止力になったのではないか」と語っている。
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 各都道府県と一部の政令市にも埼玉県と同様の組織がある。東京都では、昨年度の相談件数は埼玉県の倍に当たる20万535件。都では75年に消費者被害救済委員会が設置されており、これまで、あっせんや調停、訴訟援助など計36件の処理をしている。【扇沢秀明】
(毎日新聞) - 8月3日15時27分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050803-00000077-mai-soci