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2005年07月29日(金) 00時00分

楽天情報流出 脇の甘さがまた表れた 東京新聞

 インターネット上で仮想店舗網を運営する楽天の顧客情報流出が明らかになった。流出の件数など詳細は調査中だが、企業の急成長を追うあまり、基本的な情報管理に甘さがあったのではないか。

 楽天によれば流出した個人情報の内容は顧客の住所・氏名、生年月日、電話番号、メールアドレスに加えクレジットカード番号と購入商品となっている。

 悪意を持った第三者が、これだけの情報を入手すれば、顧客になりすまし、ネットの通信販売で商品を詐取することも不可能ではない。

 流出した件数は、当初百二十三件とされていたが、二百八十四件に増え、最終的に十万件に達する恐れも指摘されている。

 流出した情報はすべて特定の契約店舗で売買が行われた時の情報に限られ、楽天内部から流出した可能性は「限りなく低い」と楽天は自社のホームページで説明している。

 楽天は日本のネットショッピングの草分けだ。自社の商品を持たずに、割安な加盟料で一般の参加商店を募集し、ネット上に大規模な仮想店舗を構築することで急成長した。

 今回の情報流出は楽天本体からなのか、契約店舗からなのか現状では明らかにされていない。しかし、顧客は楽天のブランドを信じるからこそ、楽天のホームページを経由して各仮想店舗の商品を購入しているのである。

 楽天が大事な顧客情報を、外部に漏れるような状態で加盟の店舗に渡していたとすれば、楽天の道義的責任は免れないのではないか。

 昨年二月には、同じ急成長企業のソフトバンク傘下のネット接続サービス「ヤフーBB」の顧客情報四百六十万件が流出する事件もあった。

 ヤフーの場合は、漏れたのが通話先の電話番号などが中心だったが、楽天の場合は、お金に直結するカード情報だという点でより問題は深刻かもしれない。

 システムに少しでもすきがあれば、大量の顧客情報が流出してしまうというヤフーの教訓が十分生かされていなかったのではないか。華やかな急成長を追い求めるあまり、日常の情報管理体制に甘さが忍び込んでいたといわれてもやむを得ない。

 四月に個人情報保護法が施行され企業の責任が強化されたにもかかわらず、その後も、さまざまな企業から情報流出事故の報告は後を絶たない。個人情報を扱う企業は楽天を他山の石として、情報管理体制に漏れはないかもう一度、厳重に見直してもらいたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050729/col_____sha_____002.shtml